春から初夏にかけてスーパーを歩いていると、野菜売り場でエシャロットを見かけることがあります。普段はそれほど目立つ野菜ではありません。大きな袋で売られているわけでもなく、食卓の主役になるような顔をしているわけでもありません。けれど、酒を飲む人間としては、あれを見つけると少し気になります。
「今日はこれで飲むのもいいな」と思うのです。
水洗いして、もろみ味噌を添えるだけでいい
エシャロットは、水洗いして水気を切り、もろみ味噌を添えるだけで酒のつまみになります。手の込んだ料理ではありません。焼く必要も、揚げる必要も、細かく味付けをする必要もありません。
冷えたビールを用意して、エシャロットを一本かじる。そこにもろみ味噌の甘じょっぱさが乗る。それだけで、十分に酒のつまみとして成立します。
つまみ
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エシャロット、きゅうり、大根など、香味野菜や生野菜を手軽な酒のつまみにするときに使いやすい味噌です。
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若い頃には分かりにくかった軽いつまみ
若い頃には、こういうつまみの良さは分かりにくかった気がします。酒のつまみというと、もっと分かりやすく味の濃いもの、油のあるもの、揚げ物やスナックのようなものを思い浮かべやすいものです。
エシャロットの良さは、その反対側にあります。強いようでいて重くありません。辛味があります。香りがあります。シャキッとした食感があります。けれど、後味がいつまでも口に残る感じではありません。
一本食べて、ビールを飲む。口の中が軽く戻る。すると、また次の一口に進めます。この「次の一口に戻りやすい」という感覚が、ビールのつまみとしてかなり大事だと思います。
もろみ味噌とビールの相性
もろみ味噌をつけると、その良さが分かりやすくなります。エシャロットだけだと辛味と香りが前に出ますが、もろみ味噌を少しつけると、甘じょっぱさが加わります。
エシャロットのシャキッとした食感に、もろみ味噌の濃さが乗る。そのあとにビールを飲むと、口の中がほどけます。酒のつまみは、味が強ければよいわけではありません。酒そのものを飲み続けることを考えると、つまみが重すぎると途中で疲れてきます。エシャロットは、そこが軽いのです。
白ワインにも合うと思います。中心はやはりビールですが、エシャロットの辛味と香りには、白ワインの酸味も合います。特にすっきりした白ワインであれば、エシャロットの香味を受け止めつつ、後味を軽く流してくれます。
エシャロットとエシャレットの違い
ここで少しややこしいのが、エシャロットという名前です。日本のスーパーで、もろみ味噌をつけて生で食べるものとして売られている「エシャロット」は、正確には若採りらっきょうである「エシャレット」に近いものとして扱われることが多いようです。
JA グループも、若採りのらっきょうは「エシャレット」と呼ばれ、香味野菜として使われる本来のエシャロットとは別の野菜だと説明しています。つまり、この記事で扱っているのは、フランス料理などで使う西洋野菜としてのエシャロットというより、スーパーで酒のつまみ用として見かける、若採りらっきょう系のエシャロットです。
正確にはエシャレットらしい、くらいに理解しておくとよいと思います。売り場ではエシャロットと呼ばれていることもありますし、日常の感覚としては「エシャロット」で通じる場面も多いので、ここでは普段の呼び方に合わせてエシャロットと書きます。
春から初夏の季節感がある
若採りらっきょう系のエシャロットは、季節感も魅力です。らっきょうは、5 月下旬から 6 月にかけて生のものが出回るとされ、若採りのものは生でかじって食べられると紹介されています。
酒のつまみには、季節感があると楽しくなります。見かけたときに買う。家に帰って水洗いする。水気を切る。もろみ味噌を添える。冷蔵庫からビールを出す。これだけで、春から初夏の家飲みになります。
栄養面では軽いつまみとして扱いやすい
栄養面で見ても、エシャロットは酒のつまみとして面白い食材です。文部科学省の食品成分データベースでは、エシャレット、つまりらっきょう類の若採りりん茎の生として、可食部 100g あたり 59kcal、脂質 0.2g、食物繊維総量 11.4g、カリウム 290mg、ビタミン C 21mg などが示されています。
| 特徴 | つまみとしての良さ | 注意点 |
|---|---|---|
| 食物繊維が多い | 少量でも食べた感覚が出やすい | 人によっては胃腸に刺激を感じる場合があります |
| 脂質が少ない | 揚げ物やスナックに比べて重くなりにくい | もろみ味噌をつけすぎると塩分は増えます |
| 辛味と香りがある | 少量でも酒のつまみとして成立しやすい | 空腹時に多く食べると刺激が強く感じられることがあります |
| 季節感がある | 春から初夏の家飲みに合う | いつでも同じ状態で手に入る食材ではありません |
もちろん、エシャロットを食べれば飲酒の負担が消える、という話ではありません。酒は酒ですし、飲みすぎれば体に負担はかかります。もろみ味噌もおいしいですが、塩分はあります。そこは軽く気にしておきたいところです。
大人になって分かる酒のつまみ
大人になって分かる酒のつまみというのは、必ずしも高級なものではありません。珍味である必要もありません。手間をかけた料理である必要もありません。むしろ、スーパーで買ってきて、水洗いして、水気を切って、もろみ味噌を添えるだけのものに、ふと良さを感じることがあります。
エシャロットは、最初の一口で派手に驚かせるタイプの食べ物ではありません。けれど、一本かじると、シャキッとした食感があり、そのあとに辛味と香りが来ます。もろみ味噌の甘じょっぱさがそこに加わり、ビールを飲むと後味が軽く戻ります。
これを何度か繰り返しているうちに、「こういうのでいい」というより、「こういうのがいい」と思えてきます。香りのある野菜を少しだけかじって、ビールを飲む。そういう軽いつまみの良さが分かると、家飲みは少し楽しくなります。
春から初夏のスーパーでエシャロットを見かけたら、もろみ味噌とビールのことを思い出してみてください。

