2019 年に、自宅サーバー用のハードウェアを新調しました。当時はまだ「自宅サーバー」という言い方をしていましたが、今から見ると、これは自宅に小さな仮想化基盤を作り始めた記録でもあります。
単体のサーバーを置くというより、物理ハードウェアの上に KVM を載せ、複数の仮想マシンを動かすための土台を作る、という意味合いが強い構成です。この記事では、当時の購入記録を残しつつ、自宅用 KVM ホストとして何を見ていたのかを整理します。
購入したハードウェア
当時購入した構成は以下です。価格は購入当時の記録であり、現在の価格や入手性とは異なります。
| 部品 | メーカー | 型番 | 購入先 | 価格 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| ベアボーンキット | Shuttle | DH310 | Amazon | 25,800 円 | 小型ベアボーン |
| CPU | Intel | Core i3-8100 | Amazon | 16,175 円 | 4 Core |
| メモリ | Crucial | CT8G4SFS8266 | Amazon | 9,980 円 | 16 GB(8 GB x 2) |
| SSD | Crucial | CT500MX500SSD4/JP | Amazon | 7,785 円 | M.2 SSD |
総額は 59,740 円でした。小型ベアボーン、4 Core CPU、16 GB メモリ、M.2 SSD という構成で、当時の自宅仮想化ホストとしては扱いやすいバランスだったと思います。
小型ベアボーンを選んだ理由
自宅に置くサーバーでは、性能だけでなく、設置性、消費電力、騒音、発熱、メンテナンス性も重要になります。ラックマウントサーバーのような構成は面白い反面、家庭内で常時稼働させるには扱いにくい面もあります。
その点、小型ベアボーンは、性能と設置性のバランスを取りやすい選択肢です。拡張性は限定されますが、仮想マシンを数台動かす程度であれば、構成を絞った方が運用しやすくなります。
- 家庭内に置きやすいサイズであること
- 常時稼働させても過剰な騒音になりにくいこと
- CPU、メモリ、SSD を自分で選べること
- KVM ホストとして複数 VM を動かせるだけの余力があること
- 壊れた時に自分で交換や切り分けをしやすいこと
KVM 基盤として見るべき観点
自宅サーバー用ハードウェアを KVM 基盤として見る場合、単純な CPU 性能だけで選ぶと少し足りません。VM を複数動かす以上、CPU、メモリ、ストレージ、NIC、発熱、消費電力をまとめて見る必要があります。
| 観点 | 見るポイント | この構成での意味 |
|---|---|---|
| CPU | コア数、仮想化支援、発熱 | 4 Core で小規模 VM を複数動かす前提 |
| メモリ | VM 数と割り当て量 | 16 GB は学習・小規模運用向けの現実的な下限 |
| ストレージ | SSD、I/O、交換性 | M.2 SSD で小型化できるが、接続方式の確認が必要 |
| NIC | ポート数、VLAN、仮想ネットワーク | 小型機では拡張性に限界があるため設計で補う |
| 運用性 | 静音性、設置性、電力 | 家庭内で常時稼働させるには重要 |
M.2 SSD が認識しなかった時の話
この構成で少し焦ったのは、M.2 SSD が最初に認識しなかったことです。原因は SSD 自体ではなく、BIOS の設定でした。
Shuttle DH310 の BIOS で、OnBoard Device Configuration > M.2 PCIe / SATA Select が PCIe 側になっていたため、SATA 接続の M.2 SSD が認識されていませんでした。設定を SATA に変更することで、無事に認識しました。
今なら落ち着いて切り分けられますが、当時は別の M.2 SSD を買い直しそうになるくらいには焦りました。ハードウェア構築では、部品の故障を疑う前に、接続方式と BIOS 設定を確認するのが大事です。
CentOS 7 と KVM で仮想マシンを動かす
このハードウェアには CentOS 7 をインストールし、KVM 上で複数の仮想マシンを稼働させていました。当時は 4 台程度の VM を動かしていましたが、リソース的にはまだ余裕がある印象でした。
今の感覚で見ると、メモリ 16 GB は決して大きくありません。それでも、役割を絞った Linux VM を複数動かす用途であれば、学習用、検証用、自宅サービス用の基盤として十分に意味があります。
重要なのは、ハードウェアのスペックそのものよりも、物理ホスト、仮想化、ゲスト OS、ネットワーク、ストレージを一体で考える経験が得られることです。
小型機の限界も設計対象になる
小型ベアボーンは扱いやすい一方で、拡張性には限界があります。NIC を増やしにくい、メモリ上限が低い、ディスクを多く積みにくい、冷却に余裕が少ない、といった制約があります。
ただし、その制約も自宅基盤では重要な設計材料です。何でも載せられる大きなサーバーではなく、限られた CPU、メモリ、NIC、ストレージでどこまで役割を分けるかを考えることになります。
今見るとマイクロデータセンターの前段だった
当時は単に自宅サーバーを新調した、という感覚でした。しかし今から見ると、この構成は自宅マイクロデータセンターの前段だったと思います。
物理ハードウェアを選び、BIOS 設定を確認し、OS を入れ、KVM を構成し、複数の VM を動かす。この流れは、クラウド上でインスタンスを作るだけでは見えにくいレイヤを含んでいます。
自宅環境では、性能不足、発熱、ディスク容量、ネットワーク構成、バックアップ、障害対応がすべて自分の問題になります。だからこそ、設計の粗さも運用の弱さも、そのまま見えるようになります。
書籍
作って理解する仮想化技術 – ハイパーバイザを実装しながら仕組みを学ぶ
KVM や仮想化基盤を低レイヤから理解したい場合の参考書籍です。自宅の仮想化ホストを単なる便利な箱ではなく、仕組みとして理解する補助になります。
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