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フキノトウの心地よい苦味 – 春の山菜を味わう

昨日、近所の居酒屋でフキノトウのお浸しと天ぷらを食べました。フキノトウには、かなりはっきりした苦味があります。子どもの頃なら、たぶん積極的に食べたいとは思わなかった味です。甘いわけでも、分かりやすく旨味が強いわけでもありません。むしろ、最初に来るのは青さと苦味です。それでも、久しぶりに食べると、その苦味が妙に心地よく感じられました。フキノトウは、たくさん食べるものではないと思います。少量を、季節の変わり目に味わう食材です。春が来たことを、桜や暖かさだけでなく、苦味で感じる。そこに面白さがあります。

この記事は、フキノトウを食べた個人的な所感です。山菜は種類や状態によって下処理が必要なものもあり、採取や調理には注意が必要です。不確かな山菜を自己判断で採って食べることは避けてください。

フキノトウは春を知らせる苦味である

フキノトウは、フキの早春の花茎です。春先に土から顔を出す姿も含めて、季節を感じやすい山菜です。普段の野菜のように毎日たくさん食べるものではなく、春の始まりに少しだけ味わうものという印象があります。この「少しだけ」という距離感が、フキノトウには合っていると思います。毎日食べる主菜ではありません。食卓の中心に据えるものでもないかもしれません。しかし、季節の変わり目に少し出てくると、食事全体の印象が変わります。

苦味は、普通なら避けられやすい味です。それでも、春の山菜として出てくると、その苦味が季節の記号になります。暖かさだけではない春の気配を、舌で受け取る感じがあります。

食べたものフキノトウのお浸し、フキノトウの天ぷら
印象青さ、苦味、香りがあり、春の山菜らしい存在感がある
食べ方の違いお浸しは苦味がまっすぐ出やすく、天ぷらは油と衣で苦味が少し丸くなる
感じたこと春は明るさだけでなく、苦味としても感じられる

苦味をおいしいと感じるようになる

若い頃は、苦味のある食べ物をそれほど好んでいませんでした。苦いものは、単純に食べにくいものだと思っていたところがあります。甘い、しょっぱい、旨味がある、といった分かりやすい味に比べると、苦味はどうしても一段難しい味に感じます。しかし、フキノトウをお浸しや天ぷらで食べると、苦味そのものが味の一部として成立していることが分かります。苦味だけを取り出すと強いかもしれません。けれど、そこに香り、だし、醤油、油、衣、酒の余韻が重なると、苦味はただの食べにくさではなくなります。

むしろ、その苦味があるからこそ、春の山菜を食べている感じが出ます。

フキノトウの苦味の良さ

フキノトウの苦味は、単独で味わうというより、香り、青さ、だし、油、季節感と一緒に受け取るものだと思います。苦味があるからこそ、春の山菜らしい輪郭が出ます。

お浸しは苦味がまっすぐ出る

お浸しで食べると、フキノトウの香りと苦味が比較的まっすぐに出ます。だしや醤油の味が加わることで、苦味だけが浮かず、山菜らしい風味としてまとまります。強い味付けで隠すのではなく、苦味を残したまま整える食べ方です。お浸しの良さは、フキノトウの青さが分かりやすいところだと思います。天ぷらのような香ばしさはありません。その代わり、山菜としての香りや苦味が近い距離で来ます。少量をつまむだけでも、春らしい味がかなりはっきり出ます。

天ぷらは苦味を丸くする

一方で、天ぷらにすると印象が変わります。衣の香ばしさと油のコクが加わることで、フキノトウの苦味が少し丸くなります。苦味は残っていますが、角が取れて食べやすくなる。この変化が面白いです。同じフキノトウでも、お浸しでは青さが前に出て、天ぷらでは香ばしさと苦味のバランスが出ます。天ぷらにすると、酒のつまみとしてもかなり相性が良くなります。苦味が苦手な人にとっては、お浸しより天ぷらの方が入りやすいかもしれません。油が苦味を消すのではなく、苦味を食べやすい形に変えてくれます。

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下処理は苦味との距離を決める

フキノトウはアクのある山菜なので、食べ方に合わせて下処理を考えた方がよい食材です。お浸しで食べるなら、ゆでて水にさらすことで苦味やアクを調整しやすくなります。苦味をどれくらい残すかによって、食べたときの印象も変わります。天ぷらの場合は、苦味や香りをある程度そのまま楽しむ料理です。衣と油が入るので、苦味を完全に抜き切らなくても食べやすくなります。強い苦味が苦手な場合は、無理にたくさん食べる必要はありません。少量を季節の味として楽しむくらいがちょうどよいと思います。

季節の変わり目を食べる感覚

フキノトウを食べて面白いのは、栄養や効能を細かく考える前に、まず季節感があることです。春先の山菜は、普段の食卓とは少し違う香りや苦味を持っています。その味が、食事の中に季節の変化を入れてくれます。春は、桜や暖かさだけで来るわけではありません。黄砂のような空気の重さもありますし、フキノトウのような苦味もあります。明るさ、ざらつき、苦味。そういう複数の感覚が重なって、春という季節になるのだと思います。

毎日の主役になる食材ではないかもしれません。それでも、年に一度くらい食べると、食生活が少し豊かになる感じがあります。フキノトウの苦味は、春が近づいていることを味で知らせてくれるものなのだと思います。

まとめ

フキノトウは、強い苦味を持つ春の山菜です。ただ、その苦味は単なる食べづらさではありません。香り、青さ、だし、油、季節感と一緒に味わうことで、春の食材としての魅力になります。お浸しにすると苦味と香りがまっすぐ出て、天ぷらにすると油の香ばしさで少し丸くなる。同じフキノトウでも、食べ方によって印象が変わります。春の訪れは、暖かさや花だけではなく、こうした苦味としてもやってきます。フキノトウは、そのことを思い出させてくれる食材だと思います。

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