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ベース用エフェクターボードの組み方 – 接続順、電源、DI、切り分け

ベース用のエフェクターボードを組む目的は、ペダルをきれいに並べることではありません。演奏のたびに同じ接続と電源を再現し、低音の芯を残したまま必要な効果を加え、トラブル時に原因を切り分けられるようにすることです。

このボードでは、ジャンクションボックス、KORG PB-01、EBS MultiComp、Darkglass Vintage Microtubes、EBS MicroBass II、MXR M83 Bass Chorus Deluxe を使っています。各機材の感想だけでなく、どの信号をどこで変え、ベースアンプと PA へ何を送るかまで含めて構成を考えます。

組み直したベース用エフェクターボード
ベース用エフェクターボードの接続図

ベース用エフェクターボードを組む目的

エフェクターボードを組む目的は、単にエフェクターを並べることではありません。ライブや練習で安定して接続できること、毎回同じ音作りを再現できること、トラブル時に原因を切り分けやすいことが大事です。

特にベースの場合、音作りの中心は低音の芯です。歪み、コンプ、コーラス、プリアンプを使っても、最終的にバンドの土台として成立しているかを確認する必要があります。

今回のボード構成

役割機材例考え方
入出力整理ジャンクションボックスシールドを抜き差ししやすくし、ボード本体への負担を減らす
チューニングKORG PB-01信号の最初に置き、ミュートや調弦を安定させる
音量・粒の整理EBS MultiCompベースの粒を整えるが、潰しすぎないことが重要
歪みDarkglass Vintage Microtubes原音の芯を残しながら、必要な場面でドライブ感を足す
プリアンプ / DIEBS MicroBass II音作りとライン出力の中心。ボード全体の出口として考える
空間・揺れものMXR M83 Bass Chorus Deluxe低音の重さを残しながら、必要な場面で広がりを足す

今回の接続順

今回の基本経路は、次の順番です。

  1. ジャンクションボックス
  2. KORG PB-01 チューナー
  3. EBS MultiComp
  4. Darkglass Vintage Microtubes
  5. EBS MicroBass II
  6. MicroBass II の FX ループに MXR M83 Bass Chorus Deluxe
  7. MicroBass II からベースアンプと PA へ出力

この順番は一般的な正解ではなく、このボードで何を優先したかの結果です。チューナーはできるだけ加工されていない信号を受け、コンプで歪みへ入るレベルを整え、歪みの後にプリアンプで全体の EQ と出力を管理します。

接続順に絶対の正解はない

変更変わること
コンプを歪みの前へ置く歪みへ入る信号レベルが整い、歪み量の変化が小さくなる
コンプを歪みの後ろへ置く歪みまで含めた音量差を整えられるが、ノイズも持ち上げやすい
プリアンプを歪みの前へ置くEQ とゲインで歪み回路の反応を変えられる
プリアンプを最後に置くボード全体の音色、出力レベル、DI を最後にまとめられる
コーラスを歪みの前へ置く揺れた信号が歪み、複雑で粗い質感になりやすい
コーラスを後ろへ置く完成した音に揺れが加わり、輪郭を保ちやすい

チューナーも必ず直列経路の先頭へ置く必要はありません。プリアンプやジャンクションボックスにチューナー用のパラレル出力があれば、音声の直列経路から外す方法もあります。重要なのは定番の並びを守ることではなく、順番を変えたときに何が変わるかを理解することです。

ジャンクションボックス

One Control Minimal Series Pedal Board Junction Box は、単なるジャンクションボックスです。ただ、ボードを実用的に使う上ではかなり便利です。シールドをボードの上から抜き差しできるので、接続が楽になります。

小さくても作りがしっかりしていること、One Control という安心感があることから選びました。地味ですが、ボード全体の扱いやすさを上げるパーツです。

チューナー

KORG PB-01 は長く使っているチューナーです。特に問題が起こることもなく、安定して使えています。最近は TC Electronic の Polytune も定番ですが、チューナーはまず安定して使えることが重要です。

コンプレッサー

EBS MultiComp Studio Edition は、ベーシストに人気の定番コンプレッサーです。分かりやすくコンプ感が出て、きれいに音を整えやすいので、初心者にも扱いやすいと思います。

ただし、コンプレッサーはかけすぎるとベースの表情がなくなります。音量差を整えつつ、右手のニュアンスを残すくらいが使いやすいです。

オーバードライブ

Darkglass Electronics Vintage Microtubes は、最近購入したオーバードライブです。Darkglass は B7K などのプリアンプが有名ですが、私の場合は EBS のプリアンプを使っているため、歪み専用機として選びました。

Darkglass らしく、ベースの原音感を損ないにくいドライブがかかるところが気に入っています。ベースの歪みは低音の芯が失われやすいので、原音感が残ることはかなり重要です。

プリアンプ / DI

EBS MicroBass II は、ボード全体の音色と出力を管理する中心です。A チャンネルの Bass / Treble、B チャンネルの Middle / Edge / Drive、バランス XLR 出力、FX ループを使い、ベースアンプと PA へ渡す信号を作ります。

FX ループはバランス出力より前にあるため、ループ内のコーラスも PA へ送る信号に含められます。FX MIX を 100% にすると直列、50% にすると原音とエフェクトループの並列ミックスになります。

注意したいのは Pre EQ です。Pre EQ をオンにすると、XLR は A 入力のフィルターとゲインの前から信号を取り出し、フットスイッチの MUTE も XLR には効かなくなります。足元で作った音を PA へ送るつもりなら、Pre / Post の状態を必ず確認します。

コーラス

MXR M83 Bass Chorus Deluxe は、ベース用だけあって、オンにしてもベースの重さが損なわれにくいです。かかり具合の幅も広く、曲に合わせて柔軟に調整できます。

このコーラスは EBS MicroBass II のセンドリターンに接続しています。揺れものをどこに置くかは好みもありますが、プリアンプ側で混ぜられる構成は扱いやすいです。

電源は合計容量だけで決めない

ボードの電源設計では、各ペダルの電圧、極性、消費電流を確認します。パワーサプライ全体の合計電流が足りていても、1 つの出力ポートの上限を超えれば安定しません。デジタルペダルやヘッドフォンアンプのように消費電流が大きい機材は、個別ポートの余裕を見ます。

デイジーチェーンは簡単ですが、ペダル間で電源のグランドを共有するため、ノイズの切り分けが難しくなることがあります。ノイズに敏感なペダル、デジタルペダル、プリアンプ / DI は、アイソレートされた出力へ分けると原因を切り分けやすくなります。

トラブル時には最小構成へ戻す

  1. ベースからアンプへ直接接続し、楽器、シールド、アンプの基本経路を確認する
  2. ボードの入力から出力まで全ペダルをバイパスし、音が通るか確認する
  3. プリアンプ / DI だけを有効にし、アンプ出力と XLR 出力を別々に確認する
  4. 入力側から 1 台ずつペダルを有効にし、どの段階でノイズ、音量低下、無音が発生するかを特定する
  5. 疑わしいペダルの電源、パッチケーブル、ジャックを個別に交換する

ライブ前に、ボードを完全に迂回してベースからアンプへ直接接続できる長さのシールドを準備しておくと、ボード内で障害が起きても演奏経路を復旧できます。予備ケーブルは交換部品であると同時に、原因を切り分けるための診断ツールです。

エフェクターボードは事前シミュレーションが大事

今回、PALMER PEDALBAY 40 のようなスノコ型のエフェクターボードを使うにあたり、購入前に図を作って機材が収まるかシミュレーションしました。これはかなり大事です。

実際に組んでみると、ケーブルの取り回し、電源の位置、踏みやすさ、ジャックの向きなど、図だけでは分からない部分も出てきます。それでも、事前にサイズ感を確認しておくことで大きな失敗は減らせます。

機材を増やすより役割を明確にする

エフェクターボードは、気を抜くと機材を増やしたくなります。しかし、ベースの場合は特に、増やすほど良くなるとは限りません。低音の芯、音量バランス、ノイズ、トラブルポイントが増えるからです。

大事なのは、各機材に役割があることです。チューナーは調弦、コンプは粒の整理、歪みは必要な場面での質感追加、プリアンプは最終的な音作りと出力、コーラスは必要な場面での広がり。こう分けておくと、ボード全体が扱いやすくなります。

まとめ

ベース用エフェクターボードは、低音の芯を残す音作りと、接続・電源・出力の再現性を一つの筐体にまとめるためのものです。チューナー、コンプ、歪み、プリアンプ / DI、コーラスという名前だけで並べず、各段が何を受け、何を変え、次へ何を渡すかを決めます。

今回は EBS MicroBass II を出力の中心に置き、その前で EBS MultiComp と Darkglass Vintage Microtubes が信号を作り、FX ループで MXR M83 を並列混合できる構成にしています。これが唯一の正しい順番なのではなく、このボードで必要な判断を形にした結果です。使うペダルが変わっても、信号経路、電源、出力、障害時の迂回経路という考え方は残ります。

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