Cisco スイッチを選定していると、10GBASE-T と 10GBASE-SR を同じ筐体に収容したい場面があります。たとえば、サーバー側は RJ45 の 10GBASE-T、上流やラック間接続は SFP+ の 10GBASE-SR、という構成です。
このときに重要なのは、10GBASE-T と 10GBASE-SR を「同じ 10GbE」として雑に扱わないことです。どちらも 10Gbps の Ethernet ですが、物理層、ケーブル、消費電力、発熱、到達距離、モジュール互換性の考え方が違います。
特に、SFP+ スロットに RJ45 変換モジュールを挿せば 10GBASE-T も自由に使える、という理解は危険です。Cisco 機器では、スイッチ本体、ネットワークモジュール、SFP+ モジュール、OS バージョンの組み合わせで対応可否が決まります。
| 観点 | 10GBASE-T | 10GBASE-SR |
|---|---|---|
| 媒体 | ツイストペアケーブル、RJ45 | マルチモードファイバー、SFP+ |
| 主な用途 | サーバー接続、既存銅線配線 | スイッチ間、ラック間、光配線 |
| 注意点 | 発熱、消費電力、距離、ポート対応 | 光モジュール互換性、ファイバー種別、コネクタ |
| 選定で見ること | 本体が 10GBASE-T ポートを持つか | SFP+ ポートと SR モジュールの対応可否 |
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10GBASE-T と 10GBASE-SR は物理層が違う
10GBASE-T は、RJ45 コネクタとツイストペアケーブルを使う 10GbE です。既存の銅線配線やサーバー接続で使いやすい一方、消費電力と発熱が大きくなりやすい傾向があります。
10GBASE-SR は、SFP+ 光モジュールとマルチモードファイバーを使う 10GbE です。ラック間やスイッチ間の接続では自然な選択肢ですが、光モジュール、ファイバー種別、対応機種の確認が必要です。
つまり、10GBASE-T と 10GBASE-SR の違いは、単なるコネクタ形状の違いではありません。どの媒体を使い、どの距離を結び、どの機器で終端するのかという設計の違いです。
SFP+ スロットがあれば 10GBASE-T も使えるとは限らない
1GbE の世界では、1000BASE-T 用の SFP モジュールを挿して RJ45 化する構成を見かけます。その感覚で、10GbE でも SFP+ スロットに 10GBASE-T の RJ45 モジュールを挿せばよい、と考えたくなります。
しかし、10GBASE-T の SFP+ モジュールは発熱や消費電力の制約が大きく、すべての Cisco スイッチや SFP+ スロットで自由に使えるわけではありません。対応しているように見えても、距離制限、ポート数制限、サポート対象外、OS バージョン依存が出ることがあります。
そのため、10GBASE-T を一定数使う前提なら、最初から 10GBASE-T ポートを持つスイッチを選ぶ方が分かりやすい場合があります。SFP+ 側は、10GBASE-SR、LR、DAC など、光や短距離接続に使うポートとして考える方が設計を整理しやすくなります。
10GBASE-T と SFP+ を混在させる考え方
10GBASE-T と 10GBASE-SR を同じスイッチで使いたい場合、まず接続先を分けて考えます。サーバー接続なのか、上流スイッチ接続なのか、ラック間接続なのかで、自然なポート種別が変わります。
| 接続先 | 選びやすい媒体 | 確認すること |
|---|---|---|
| サーバーの RJ45 10GbE | 10GBASE-T | スイッチ本体に RJ45 10G ポートがあるか |
| 同一ラック内の短距離接続 | SFP+ DAC | DAC ケーブルの対応可否、長さ、ベンダー互換性 |
| ラック間、フロア内接続 | 10GBASE-SR | SFP+ SR モジュール、MMF、対応距離 |
| 長距離接続 | 10GBASE-LR など | SMF、光レベル、対向装置の対応 |
古い例では、10GBASE-T ポートを持つ Catalyst 3850 系の本体に、SFP+ ネットワークモジュールを組み合わせる構成が考えられました。ただし、これは当時の機器選定例です。今から選ぶ場合は、現行機種、サポート期限、消費電力、保守、ライセンス、中古機器の状態まで含めて見直す必要があります。
Cisco の互換性マトリクスで確認する
Cisco の光モジュールや SFP+ モジュールの対応可否は、機種名だけで判断しない方が安全です。最終的には、Cisco の互換性情報で、スイッチ本体、ネットワークモジュール、光モジュール、OS バージョンの組み合わせを確認します。
Cisco Optics-to-Device Compatibility Matrix
特に、中古の Catalyst や Nexus を使う場合は注意が必要です。本体が安く入手できても、対応モジュール、ファームウェア、ライセンス、保守、消費電力まで含めると、必ずしも安く運用できるとは限りません。
機器選定で確認したいこと
確認したいこと:
- 10GBASE-T が必要な接続数は何ポートか
- SFP+ が必要な接続数は何ポートか
- SR、LR、DAC、RJ45 SFP+ のどれを使うのか
- スイッチ本体とモジュールの組み合わせが Cisco の互換性情報に載っているか
- 発熱、消費電力、ラック内のエアフローに無理がないか
- 中古機器の場合、サポート期限と交換部材をどう考えるか
10GbE の選定では、単に「10G ポートがあるか」だけを見ると失敗しやすくなります。RJ45 なのか、SFP+ なのか、光なのか、DAC なのか、対応モジュールは何か、という単位まで分けて確認する必要があります。
まとめ
10GBASE-T と 10GBASE-SR は、どちらも 10GbE ですが、設計上は別物として扱うべきです。10GBASE-T は RJ45 とツイストペアケーブル、10GBASE-SR は SFP+ 光モジュールとマルチモードファイバーを前提にします。
Cisco スイッチで両方を使いたい場合は、10GBASE-T ポートを持つ本体と、SFP+ ポートまたは拡張モジュールを組み合わせる発想が分かりやすいです。そのうえで、実際に使う SFP+ モジュール、DAC、光モジュールが対応しているかを、Cisco の互換性マトリクスで確認します。
10GbE の機器選定は、速度だけでは決まりません。媒体、距離、発熱、消費電力、サポート、保守まで含めて見ることで、後から無理のない構成になります。
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