Cisco IOS で BGP を設定する時の最小構成を整理します。BGP は単に neighbor を書けば終わるものではなく、どの AS と隣接し、どの経路を広告し、どこまで再配布するのかを明確にする必要があります。
この記事では、Cisco IOS における BGP の基本設定を、router bgp、neighbor remote-as、network、タイマー、スタティック経路の再配布、デフォルトルート広告の観点で整理します。
BGP の最小設定
まずは、ローカル AS を指定して BGP プロセスを起動し、対向ルーターを neighbor として定義します。
router bgp 65000
neighbor 192.168.1.100 remote-as 10
network 10.0.0.0 mask 255.0.0.0
no auto-summary
bgp timers 60 180router bgp 65000は、ローカル AS 番号 65000 で BGP プロセスを起動します。neighbor 192.168.1.100 remote-as 10は、対向ピアの IP アドレスと AS 番号を指定します。network 10.0.0.0 mask 255.0.0.0は、BGP で広告したいプレフィックスを指定します。no auto-summaryは、古いクラスフル集約の挙動を抑止します。bgp timers 60 180は、keepalive を 60 秒、holdtime を 180 秒にします。多くの環境ではデフォルト値です。
network コマンドは経路を作る設定ではない
network コマンドは、インターフェースに IP アドレスを付ける設定ではありません。また、BGP が新しい経路を生成する設定でもありません。Cisco IOS では、指定したプレフィックスがルーティングテーブルに存在している場合に、その経路を BGP で広告するための指定です。
そのため、network 10.0.0.0 mask 255.0.0.0 を書いても、ルーティングテーブルに 10.0.0.0/8 が存在しなければ、その経路は広告されません。
必要に応じて Null0 への静的経路を使う
集約経路を意図的に広告したい場合は、Null0 への静的経路を用意してから network で広告する構成があります。これは、存在しない集約経路を無理に広告するのではなく、ルーティングテーブル上に明示的な集約経路を作る考え方です。
ip route 10.0.0.0 255.0.0.0 Null0
router bgp 65000
network 10.0.0.0 mask 255.0.0.0スタティック経路を再配布する場合
redistribute static を使うと、ルーティングテーブル上の静的経路を BGP に再配布できます。ただし、これは影響範囲が大きい設定です。意図しない静的経路まで外部へ流す可能性があるため、実運用では route-map で対象を絞る方が安全です。
ip prefix-list BGP-STATIC-OUT seq 10 permit 192.0.2.0/24
route-map REDIST-STATIC permit 10
match ip address prefix-list BGP-STATIC-OUT
router bgp 65000
redistribute static route-map REDIST-STATIC単純な検証であれば redistribute static だけでも動作確認はできますが、本番に近い構成では、何を広告するのかを明示する方が事故を減らせます。
デフォルトルートを広告する場合
default-information originate は、BGP でデフォルトルートを広告するための設定です。デフォルトルートは、受け取った側の通信経路を大きく変えるため、広告してよい相手と条件を慎重に考える必要があります。
ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 203.0.113.1
router bgp 65000
default-information originateこの設定は、上流接続を持つルーターが下流側へデフォルトルートを配る場合などに使います。単に便利だから入れる設定ではなく、経路設計上、そのルーターが出口であると言える場合に使う設定です。
BGP の状態確認
設定後は、neighbor が確立しているか、経路を受信・広告できているかを確認します。
show ip bgp summary
show ip bgp neighbors
show ip bgp
show ip route bgpshow ip bgp summary で neighbor の状態を確認し、Established になっているかを見ます。経路広告の確認では、BGP テーブルとルーティングテーブルの両方を見ることが重要です。
設定例全体
最小構成に、静的経路の再配布とデフォルトルート広告を加えると、次のような形になります。実運用では、neighbor ごとの policy、prefix-list、route-map、local-preference、AS path 制御などを加えて設計します。
ip route 10.0.0.0 255.0.0.0 Null0
ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 203.0.113.1
ip prefix-list BGP-STATIC-OUT seq 10 permit 192.0.2.0/24
route-map REDIST-STATIC permit 10
match ip address prefix-list BGP-STATIC-OUT
router bgp 65000
neighbor 192.168.1.100 remote-as 10
network 10.0.0.0 mask 255.0.0.0
no auto-summary
bgp timers 60 180
redistribute static route-map REDIST-STATIC
default-information originateまとめ
Cisco IOS の BGP 設定では、router bgp と neighbor が隣接関係の土台になります。ただし、BGP で本当に重要なのは、どの経路を広告し、どの経路を受け入れ、どこまで再配布するかです。
network は経路を作る設定ではなく、既に存在する経路を BGP で広告する指定です。redistribute static や default-information originate は便利ですが、影響範囲が大きいため、経路設計とフィルタリングを前提に扱うべき設定です。
参考書籍
書籍
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