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カラスは飼える?鳥獣保護管理法と野生個体・傷病鳥・巣立ち雛の扱い

野生のカラスを見て、「賢そうだから飼ってみたい」「傷ついているので連れて帰りたい」と考えることがあるかもしれません。しかし、日本にいる野生のカラスを自己判断で捕まえ、ペットとして飼い始めることは原則としてできません。

ここで重要なのは、カラスという鳥の飼育が一律に禁止されている、と単純化しないことです。鳥獣保護管理法がまず規制しているのは、野生鳥獣の捕獲や卵の採取です。どのように入手した個体なのか、何の目的で捕獲するのか、どの許可や制度に基づくのかによって扱いが変わります。

結論:野生のカラスは自由に連れ帰れない

状況基本的な考え方
野生のカラスをペット目的で捕まえる愛玩飼養を目的とした捕獲許可は原則として認められない
カラスの卵やヒナを持ち帰る卵の採取や野鳥の捕獲に当たり得るため、自己判断で行わない
傷ついたカラスを保護する自治体ごとに救護方針が異なるため、触れる前に窓口へ確認する
巣立ち直後のヒナを見つける親鳥が近くで世話をしていることが多く、原則としてその場で見守る
餌を与えて慣らす餌付けによる個体集中や生活被害につながるため、行わない

「かわいそうだから」「自分に懐いたから」という理由だけでは、野生のカラスを捕獲してよい根拠にはなりません。まず捕獲の可否を確認し、その後に一時保護や飼養の手続きがあるかを考える順序になります。

問題の中心は飼育より捕獲と入手経路にある

鳥獣保護管理法第 8 条は、鳥獣の捕獲等と鳥類の卵の採取等を原則として禁止しています。例外として、第 9 条の許可に基づく捕獲、狩猟制度による狩猟鳥獣の捕獲などが定められています。

  • 捕獲:生きた個体を捕まえるだけでなく、殺傷も含む
  • 卵の採取等:卵を持ち帰ることや損傷させることも対象になる
  • 許可捕獲:学術研究、鳥獣の保護・管理など、制度上認められた目的と手続きが必要
  • 狩猟:対象種、期間、区域、猟法、狩猟免許、狩猟者登録などの条件に従う

したがって、「家で飼える環境があるか」より前に、「その個体を合法的に捕獲・入手できるのか」を確認しなければなりません。違法に捕獲された鳥獣は、後から飼育設備を用意しても合法な個体にはなりません。

ペット目的の捕獲許可は原則として認められない

環境省の基本指針では、愛玩飼養を目的とした野生鳥獣の捕獲は原則として許可しない方針が示されています。つまり、「カラスをペットにしたい」という希望だけで、第 9 条の捕獲許可を受けられると考えるべきではありません。

研究、展示、傷病鳥獣の救護、有害鳥獣の捕獲などには、それぞれ別の目的と責任があります。これらはペットとして所有するための名目ではなく、許可された目的の範囲で捕獲や一時的な飼養を行う制度です。

狩猟鳥獣だから自由に捕まえられるわけではない

ハシボソガラス、ハシブトガラス、ミヤマガラスは狩猟鳥獣に含まれます。しかし、狩猟鳥獣であることは、誰でも、いつでも、どこでも捕まえてよいという意味ではありません。

狩猟には、狩猟免許と狩猟者登録、狩猟期間、狩猟可能区域、使用できる猟法などの規制があります。自治体による追加の制限もあり得ます。狩猟制度は、野生のカラスをペットにするための簡単な抜け道ではありません。

拾った後で登録すればよいわけではない

鳥獣保護管理法には飼養登録の制度があります。ただし、これは無許可で捕まえた野鳥を、後から申請して合法化する制度ではありません。第 19 条の登録は、第 9 条の許可を受けて捕獲した一定の鳥獣を飼養する場合について定めたものです。

登録の要否は、鳥獣の種類、捕獲の根拠、許可内容、飼養期間などによって変わります。実際の個体を扱う場合は、所在地の都道府県や、権限を移譲された市区町村の鳥獣保護担当窓口へ確認する必要があります。

傷ついたカラスを見つけた場合

傷病鳥獣の救護方針は、自治体によって異なります。負傷しているように見えても、すぐに自宅へ連れ帰るのではなく、その地域の鳥獣保護担当窓口へ先に確認してください。

たとえば東京都は、ハシボソガラスとハシブトガラスを傷病鳥獣救護の対象外としています。したがって、「傷ついた野鳥なら自治体が必ず引き取る」「保護した人がそのまま飼える」とは限りません。地域によって対象種と対応が違うため、別の自治体の案内をそのまま当てはめないことが重要です。

カラスはくちばしが強く、繁殖期には親鳥が周囲を警戒していることもあります。人やペットを近づけず、無理に触れたり追い回したりせず、必要な対応を窓口へ相談します。

カラスのヒナを拾ってはいけない理由

春から初夏には、羽が生えそろっていても上手に飛べない巣立ち直後のヒナが地面にいることがあります。単独でいるように見えても、親鳥が近くで見守り、給餌を続けている場合があります。

この状態を「捨てられた」「巣から落ちた」と判断して持ち帰ると、親鳥から引き離すことになります。明らかな外傷がなく、道路上など差し迫った危険もなければ、近づかずにその場を離れるのが基本です。判断がつかない場合は、捕まえる前に自治体へ相談します。

餌を与えて慣らすことも避ける

飼えないなら餌を与えて仲良くなればよい、という考え方にも問題があります。継続的な餌付けは、カラスが同じ場所へ集まる、人への警戒を弱める、ゴミを荒らす、繁殖や行動に影響するなど、周辺の生活環境や生態系へ影響を与えます。

カラスが特定の人を覚え、警戒を弱めることはあります。しかし、人に慣れることと、家畜化されたペットになることは別です。野生動物との関係を近づけすぎると、最終的にはカラスが追い払いや捕獲の対象になる可能性もあります。

状況別にどう対応するか

見つけた状況対応
元気な成鳥が近くにいる餌を与えず、距離を保って観察する
羽の生えたヒナが地面にいる親鳥が近くにいる可能性を考え、原則として持ち帰らない
負傷して動けないように見える無理に触れず、所在地の自治体へ対象種と対応を確認する
巣やヒナが生活上の被害を生じさせている自分で撤去・捕獲せず、施設管理者や自治体へ相談する
ペットとして飼いたい野生個体を捕獲せず、愛玩目的の捕獲許可は原則認められないことを理解する

この記事は日本国内の一般的な制度を説明するもので、個別案件の許可判断ではありません。捕獲許可や救護対象は地域と状況によって異なるため、実際に野生のカラスを見つけて対応に迷う場合は、所在地の自治体へ確認してください。

参考にした公的情報

参考書籍

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まとめ

日本にいる野生のカラスを自己判断で捕まえ、ペットとして飼い始めることは原則としてできません。鳥獣保護管理法では野生鳥獣の捕獲や卵の採取が原則禁止され、愛玩飼養を目的とした捕獲も原則として許可しない方針です。

傷ついた個体や巣立ち雛を見つけた場合も、善意だけで持ち帰らず、自治体の救護方針と対象種を先に確認します。カラスを理解することと、所有することは別です。餌付けをせず、野生動物として距離を保って観察することが、カラスと人の双方にとって現実的な関わり方です。

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