オフィスが水道橋近辺にあった頃、残業で遅くなり、暗い歩道を歩いていたことがあります。
前方から、見慣れないシルエットの生き物がひょこひょこと歩いてきました。最初は何か分からず、少し警戒しながら見ていたのですが、近づいてくる姿をよく見るとカモでした。
川沿いや水辺でカモを見ることはあります。しかし、夜の歩道を普通に歩いている姿を見るとは思っていなかったので、かなり不思議な光景でした。
水道橋でカモを見かける違和感
水道橋周辺には神田川があり、都心の中でも水辺の気配があります。昼間であれば、川沿いに鳥がいること自体はそれほど珍しくありません。
ただ、歩道の上をカモが前から歩いてくると、話は少し変わります。水辺の鳥という認識があるため、舗装された夜道にいるだけで、こちらの認識が一瞬追いつかなくなります。
野鳥は人間の都合で作った場所の分類に従っているわけではありません。川、歩道、植え込み、建物の隙間。都市の中にある複数の空間を、その鳥なりに使っているだけなのだと思います。
都市にも野生は入り込んでいる
都市にいると、自然は公園や川沿いのような限定された場所にだけ存在しているように感じます。
しかし実際には、鳥や小さな生き物は、人間が意識していない場所にも普通に入り込んでいます。街路樹、植え込み、用水路、ビルの隙間、夜の歩道。人間にとっては通勤経路でも、別の生き物にとっては移動経路や休む場所になっていることがあります。
今回のカモも、何か特別な事件というより、都市の中で生き物が普通に行動していただけなのかもしれません。ただ、人間側がそれを想定していないため、妙に印象に残る出来事になります。
種類は断定しない方がよい
この時に見たカモが、マガモなのか、カルガモなのか、あるいは別の種類だったのかは断定できません。
暗い時間帯で、距離もあり、写真で細部を確認したわけでもありません。くちばしの色、羽の模様、体格、雌雄の違いまで見ていない以上、種類名を決めつけるのは避けた方がよいと思います。
生き物の記事では、名前を当てることに意識が向きがちです。しかし、分からないものは分からないままにしておくことも大事です。観察とは、断定することではなく、見えた範囲と見えていない範囲を分けることでもあります。
近づきすぎずに見る
しばらく見ていると、そのカモは歩道脇の低い街路樹の中に入っていきました。おそらく、その場所で休もうとしていたのだと思います。
こういう時、近づいて写真を撮りたくなる気持ちはあります。ただ、相手は野生の生き物です。人間に見られているだけでも警戒しているかもしれません。
そのため、無理に近づかず、餌も与えず、少し観察したらその場を離れるくらいがちょうどよいと思います。都市で見かける野鳥は身近ですが、ペットではありません。
身近な生き物に気づく面白さ
この出来事が印象に残っているのは、カモそのものが珍しいからではありません。
むしろ、都心の夜道という人工的な場所に、自分の想定していない生き物が普通に歩いていたことが面白かったのだと思います。
都市は人間だけの空間に見えます。しかし、少し目線を変えると、鳥も昆虫も植物も、それぞれの形で入り込んでいます。人間が作った街の中にも、生き物の動線は残っています。
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まとめ
夜道を歩いていたら、前からカモが歩いてきた。
それだけの出来事ですが、都市の中にも野生の生き物が普通に存在していることを思い出させる体験でした。
生き物を見る時は、名前を決めつけすぎず、近づきすぎず、相手の行動を邪魔しない距離で見る。そのくらいの関わり方が、都市の野鳥を見るにはちょうどよいのだと思います。

