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円安を生活実感だけで語らない – ドル円 150 円台と物価・賃金で見る

円安は、ニュースの中だけの話ではありません。ドル円が 150 円台、あるいは 158 円近辺まで進むと、生活の中でも円安を感じる場面が増えます。ガソリンが高い。輸入食品が高い。コーヒーやチョコレート、パン、パスタがじわじわ上がる。iPhone や Mac の価格を見ると、以前よりずいぶん高く感じる。そうなると、「円安で生活が苦しい」という感覚は自然です。ただし、円安を生活実感だけで語ると、問題の構造を見失います。

円安、物価、賃金、企業収益、輸入コストはつながっています。しかし、それぞれ同じものではありません。

円安を考えるときは、ドル円の水準だけでなく、ガソリン、輸入食品、スマートフォン価格、電気代、賃金、企業収益を分けて見る必要があります。生活実感は入口になりますが、それだけでは原因と影響を切り分けられません。

ドル円 150 円台は、生活の中で見える

為替レートそのものは、日常生活では直接見えにくいです。しかし、ドル円が 150 円台になると、その影響は価格として見えやすくなります。原油や LNG のようなエネルギーを輸入に頼っていれば、円安は燃料費や電気代に効いてきます。小麦、大豆、飼料、コーヒー豆、カカオなど、輸入に依存する品目では、円建ての仕入れコストが上がります。Apple 製品のように海外価格と為替の影響を受けやすい商品も、円安になると高く見えやすくなります。

その意味で、生活実感は重要です。ただ、生活実感は結果として見えているものです。そこから原因を考えるには、もう少し分解する必要があります。

円安と物価上昇は同じではない

円安になると、輸入品は高くなりやすくなります。しかし、物価上昇の原因がすべて円安というわけではありません。原材料価格そのものが上がることもあります。物流費や人件費が上がることもあります。企業が利益率を維持するために値上げすることもあります。円安は、その中の一つの要因です。

生活で見える価格分けて見る要因
ガソリン原油価格、為替、税金、補助金、流通コスト。
電気代LNG 価格、為替、燃料費調整、再エネ賦課金。
パン・パスタ小麦価格、為替、物流費、製造コスト。
コーヒー・チョコレート原材料価格、為替、輸送費、販売価格戦略。
iPhone・Mac海外価格、為替、国内販売価格、買い替えサイクル。
外食食材費、人件費、家賃、光熱費、客単価。

このように見ると、生活で感じる値上げは、複数の要因が重なった結果だと分かります。円安は重要ですが、円安だけを原因にすると、他の要因が見えなくなります。

円安による生活負担を考えるときは、「為替で高くなったもの」と「原材料・人件費・物流費で高くなったもの」を分ける必要があります。全部を円安のせいにすると、対策も見誤ります。

賃金が上がらないと、円安は負担として見えやすい

円安そのものが、常に悪いわけではありません。輸出企業にとっては、円安が収益を押し上げることがあります。海外で稼いだ利益を円換算したときに増える企業もあります。訪日外国人にとって日本が割安になり、インバウンド消費が増えることもあります。それでも生活者にとって円安が苦しく感じられるのは、物価上昇に賃金が追いつかないからです。ガソリン、食品、電気代、日用品が上がっても、手取りが同じなら、生活は苦しくなります。

つまり、問題は円安だけではありません。円安で得をする主体と、負担を受ける主体が分かれていること。企業収益が賃金に十分つながらないこと。輸入コストの上昇が家計に転嫁されやすいこと。ここまで見ないと、生活実感としての円安は理解しにくいです。

円安で稼ぐ企業と、円安で苦しくなる家計

円安は、同じ国内でも影響が分かれます。海外売上比率の高い企業は、円安で円換算の売上や利益が増えることがあります。一方で、輸入原材料に依存する企業は、仕入れコストが上がります。家計は、輸入物価の上昇を価格として受け取りやすい立場です。ここに、円安の難しさがあります。円安で企業収益が伸びても、それが賃上げや国内投資につながらなければ、生活者にとっては負担感だけが残ります。だから、円安を評価するときは、輸出企業の決算だけを見るのでも、スーパーの値札だけを見るのでも不十分です。

まとめ

円安は、生活の中で実感しやすいテーマです。ドル円が 150 円台になると、ガソリン、輸入食品、電気代、スマートフォン価格などを通じて、円安を感じる場面が増えます。ただし、生活実感だけで円安を語ると、問題を単純化しすぎます。円安、物価、賃金、企業収益、輸入コストはつながっていますが、同じものではありません。重要なのは、何が為替による影響で、何が原材料価格や人件費による影響で、どの負担が家計に転嫁されているのかを見ることです。

円安を生活実感から考えることは必要です。しかし、そこで止まらず、為替、物価、賃金、企業収益を分けて見ることで、ようやく円安の意味が見えてくるのだと思います。

円安は、ドル円のチャートだけでなく、家計の支出、企業の収益、賃金、価格転嫁の問題として見る必要があります。生活実感を入口にしつつ、そこで止まらないことが大切です。

参考
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インフレ・円安・バラマキ・国富流出
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