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FX で根拠を増やしすぎない – ドル円、豪ドル円、テクニカルと材料を分ける

FX では、根拠を増やすほど判断が強くなるように見えることがあります。

ドル円を見るときに、移動平均線、水平線、RSI、MACD、フィボナッチ、米 CPI、FOMC、日銀会合、米長期金利、SNS の相場観を全部並べる。豪ドル円を見るときに、RBA、豪州雇用統計、中国経済指標、鉄鉱石価格、日経平均、円安材料、日足サポートを全部見る。

もちろん、それぞれの情報には意味があります。しかし、根拠を増やしすぎると、むしろ判断は濁ります。問題は、情報量そのものではありません。どの根拠を主にして、どの根拠を補助として扱うのかが決まっていないことです。

FX で根拠を増やすときは、主たる判断軸を決める必要があります。ドル円なら米 CPI、FOMC、日銀、米長期金利。豪ドル円なら RBA、中国経済、資源価格、円側の材料。これらを同じ重みで混ぜると、売買判断は強くなるのではなく曖昧になります。

移動平均線も RSI も、同じ種類の根拠ではない

テクニカル分析だけを見ても、根拠には種類があります。移動平均線は、一定期間の価格の平均です。大きな方向感や、価格が平均に対してどの位置にあるかを見るために使います。RSI は、買われすぎや売られすぎの目安として使われます。短期的な過熱感を見るには便利ですが、強いトレンドでは高い水準や低い水準に張り付くこともあります。フィボナッチは、押し目や戻りの目安として使われます。ただし、引き方によって見える水準が変わります。

これらは、同じ「買い根拠」や「売り根拠」として足し算できるものではありません。たとえば、ドル円が 200 日移動平均線より上にあり、RSI が高く、フィボナッチの戻り目標にも近いとします。移動平均線だけを見れば上昇トレンドかもしれません。しかし RSI だけを見れば買われすぎに見える。フィボナッチだけを見れば利確候補に見える。この状態で「根拠が三つあるから買い」と判断すると、何を見ているのか分からなくなります。

テクニカル指標は、数を増やすほど精度が上がるわけではありません。それぞれが何を見ている指標なのかを分ける必要があります。

ドル円では、米 CPI と日銀材料を混ぜすぎない

ドル円では、ファンダメンタルズの根拠も混ざりやすいです。米 CPI が強ければ、FRB の利下げ観測が後退し、ドル高方向に働きやすくなります。FOMC の声明やパウエル議長の発言も、米金利を通じてドル円に影響します。一方で、日銀の政策修正、国債買い入れ、植田総裁の発言、為替介入への警戒も、円側の材料として効きます。ここで、米国材料と日本材料を同じ重みで並べると、判断がぼやけます。

米 CPI が強いから買うのか。日銀がハト派だから買うのか。米長期金利が上がっているから買うのか。介入警戒があるから見送るのか。どれが主たる前提なのかを決めないと、上がっても下がっても後から説明できてしまいます。後から説明できることと、事前に判断できることは違います。ドル円では、米国側の金利材料で入るのか、日本側の政策材料で入るのか、チャートの節目で入るのかを分けた方がよいです。

豪ドル円では、豪ドル側と円側を分ける

豪ドル円では、さらに根拠が増えやすくなります。豪ドル側には、RBA の政策判断、豪州雇用統計、賃金、インフレ、中国経済、資源価格があります。円側には、日銀、米金利、リスク選好、為替介入警戒があります。豪ドル円を買うという判断は、豪ドルを買う判断と円を売る判断が重なっています。たとえば、RBA が利下げに慎重で、豪ドルは買われやすい。一方で、中国経済指標は弱く、資源価格も重い。さらに日銀の政策修正観測で円も買われやすい。

この状態で、日足サポートに近いから豪ドル円を買う、という判断は危うくなります。チャートの形が悪いというより、根拠の向きがそろっていないからです。豪ドル円では、少なくとも次の二つを分けて考えるべきです。

見る対象主な材料判断の注意点
豪ドル側RBA、豪州雇用統計、中国経済、資源価格豪ドルそのものを買う理由があるかを見る。
円側日銀、米金利、リスク選好、為替介入警戒円を売る理由があるか、円高材料が強くないかを見る。
チャート日足サポート、4 時間足の戻り高値、移動平均線材料と同じ方向を向いているかを見る。
取引条件スプレッド、流動性、発表予定、損切り幅方向が合っていても、入る条件が悪くないかを見る。

SNS の相場観は、最後に足すほど危ない

根拠を増やしすぎるとき、SNS の意見も混ざりやすいです。X でドル円の円安予想が多い。YouTube で豪ドル円の上昇シナリオが語られている。ニュースサイトで「市場では追加利上げ観測」と書かれている。こうした情報を見ること自体が悪いわけではありません。しかし、自分の判断が固まっていない状態で外部の意見を足すと、都合のよい根拠だけを拾いやすくなります。買いたいときには強気の投稿が目に入り、売りたいときには弱気の投稿が目に入る。

この状態では、情報を分析しているのではなく、自分の気分に合う意見を探しているだけになります。SNS の相場観は、主たる根拠にしない方がよいです。見るとしても、自分の前提がどこに偏っているかを確認する補助情報にとどめるべきです。

根拠を増やしているときは、「主たる前提は何か」「補助材料は何か」「反対材料は何か」を分ける必要があります。買いたい理由だけ、売りたい理由だけを集めているなら、それは分析ではなく確認バイアスに近くなります。

根拠は足し算ではなく、階層で整理する

根拠は、単純な足し算ではありません。米 CPI が強い、移動平均線が上向き、RSI が高い、SNS でも強気、だから買う。こういう並べ方をすると、根拠が多いように見えます。しかし、実際にはそれぞれの階層が違います。米 CPI は材料です。移動平均線は価格の位置です。RSI は過熱感です。SNS は他人の見方です。同じ列に並べて多数決を取るものではありません。まず、今回の取引で何を主たる前提にするのかを決める。

次に、その前提をチャートが支持しているかを見る。最後に、取引条件や反対材料を確認する。この順番で見れば、根拠は整理されます。逆に、順番がないまま情報を足していくと、どの材料が崩れたら撤退するのかも分からなくなります。

根拠が増えたら、撤退条件も増えているか確認する

根拠を増やすなら、撤退条件も増えているはずです。米 CPI を理由にドル円を買うなら、米金利が下がったときや、CPI の解釈が市場で否定されたときにどうするかを決める必要があります。RBA を理由に豪ドル円を買うなら、RBA の見方が変わったとき、中国指標が悪化したとき、資源価格が崩れたときにどうするかを決める必要があります。移動平均線を理由に買うなら、その移動平均線を割ったときにどうするかを決める必要があります。

根拠だけ増えて、撤退条件が増えていないなら、その根拠は取引設計に組み込まれていません。ただ安心するために足しているだけです。本当に根拠として扱うなら、その根拠が崩れたときの行動まで決める必要があります。

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まとめ

FX では、根拠を増やすほど判断が強くなるとは限りません。移動平均線、RSI、フィボナッチ、米 CPI、FOMC、日銀、RBA、中国経済、資源価格、SNS の相場観。これらを同じ重みで混ぜると、判断は補強されるのではなく、むしろ曖昧になります。重要なのは、根拠の数ではありません。主たる前提、補助材料、反対材料、撤退条件を分けることです。ドル円なら、米国材料、日本材料、チャートを分ける。豪ドル円なら、豪ドル側、円側、資源価格、リスク選好を分ける。

根拠を増やすことより、根拠の役割を決めること。それができて初めて、FX の分析は後付けではなく、取引設計になります。

FX で根拠を増やしすぎない – ドル円、豪ドル円、テクニカルと材料を分ける

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