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インフレで現金の価値が目減りするとはどういうことか – 100 万円と購買力で見る

インフレで現金の価値が目減りする、という言い方があります。この表現はよく使われますが、少し分かりにくいところがあります。銀行口座にある 100 万円は、明日も 100 万円のままです。財布の中の 1 万円札も、物価が上がったからといって 9,800 円札になるわけではありません。それでも、食品、電気代、外食、家賃、スマートフォン、交通費が上がれば、同じ 100 万円で買えるものは少なくなります。

つまり、目減りしているのは名目額ではなく、購買力です。

現金の価値が目減りするとは、口座残高の数字が減るという意味ではありません。同じ 100 万円で買える食品、電気代、サービス、住居費が少なくなるという意味です。

100 万円は 100 万円のままでも、買える量は変わる

たとえば、手元に 100 万円の現金があるとします。物価が上がっても、通帳の数字は 100 万円のままです。しかし、1 年前に 1,000 円で買えたものが 1,100 円になれば、同じ 100 万円で買える量は減ります。食品が 10% 上がる。電気代が上がる。外食のランチが 900 円から 1,100 円になる。日用品も少しずつ高くなる。一つひとつの値上げは小さく見えても、生活全体では効いてきます。

現金の名目額は変わらないのに、買えるものが減る。これが、インフレによる購買力の低下です。

物価 2% 上昇は小さく見えるが、積み重なる

物価が 2% 上がると聞いても、それほど大きく感じないかもしれません。しかし、2% の上昇が毎年続くと、購買力は少しずつ削られます。

状況100 万円の見え方
物価が変わらない100 万円で買える量は変わらない。
物価が 2% 上がる同じものを買うには約 102 万円が必要になる。
物価が 5% 上がる同じものを買うには約 105 万円が必要になる。
預金金利がほぼ 0%口座残高はほぼ増えず、購買力だけが下がる。
賃金も 2% 上がる家計への影響は一部相殺される。
賃金が上がらない生活費の増加がそのまま負担になる。

物価上昇が問題になるのは、物価だけが動くからではありません。預金金利、賃金、年金、家賃、税金、社会保険料との関係で、実際の生活負担が変わるからです。

インフレを見るときは、物価上昇率だけでなく、預金金利、賃金上昇率、固定費、税金、社会保険料を合わせて見る必要があります。物価だけが上がり、収入が増えなければ、購買力は確実に下がります。

預金は安全だが、購買力までは守らない

現金や預金には、安全性があります。株式や投資信託のように価格が大きく変動するわけではありません。急に半分になることも、通常はありません。生活防衛資金としての現金は必要です。ただし、預金が守ってくれるのは主に名目額です。100 万円を預けておけば、基本的には 100 万円として残ります。しかし、物価が上がれば、その 100 万円で買えるものは減ります。預金金利が物価上昇率を下回る場合、実質的には購買力が下がります。

これは、預金が悪いという話ではありません。預金は流動性と安全性を担います。ただ、それだけでインフレに対応できるわけではない、ということです。

インフレで困るのは、固定された収入と支出のズレ

インフレで苦しくなるのは、物価が上がるからだけではありません。収入が固定されている一方で、支出だけが上がるからです。給与がすぐに上がらない。年金が物価に十分追いつかない。家賃、光熱費、食費、通信費が上がる。そうなると、生活の余裕は削られます。特に、食品や電気代のような避けにくい支出が上がると、家計への影響は大きくなります。旅行や外食なら減らせるかもしれません。しかし、食費や電気代をゼロにはできません。

だから、インフレは単に価格が上がる現象ではなく、固定された収入と変動する支出のズレとして家計に現れます。

まとめ

インフレで現金の価値が目減りするとは、口座残高の数字が減るという意味ではありません。100 万円は 100 万円のままです。しかし、食品、電気代、外食、家賃、日用品が上がれば、その 100 万円で買えるものは少なくなります。目減りしているのは、名目額ではなく購買力です。預金は安全性と流動性を持っていますが、物価上昇に対して購買力を完全に守るものではありません。だからこそ、インフレを見るときは、物価上昇率だけでなく、賃金、預金金利、固定費、生活防衛資金を合わせて考える必要があります。

現金は必要です。ただし、現金だけを持っていれば安全というわけではありません。インフレの局面では、名目額と購買力を分けて考えることが重要です。

参考
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インフレ・円安・バラマキ・国富流出
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