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分散投資とは何を分散することか – オルカン、S&P 500、通貨、時間で見る

分散投資という言葉は、よく使われます。NISA でオルカンを積み立てる。S&P 500 の投資信託を買う。日本株と米国株を持つ。預金だけでなく、投資信託や債券も持つ。こうした話は、まとめて分散投資と呼ばれます。ただ、分散投資は「いろいろ買えばよい」という話ではありません。何を分散しているのかを分けて考えないと、分散しているつもりで、実際には同じリスクを重ねて持っているだけになることがあります。

分散投資では、資産クラス、地域、通貨、時間、金融機関、制度、生活費との関係を分けて見る必要があります。商品数が多いことと、リスクが分散されていることは同じではありません。

オルカンと S&P 500 を両方持てば分散なのか

たとえば、オルカンと S&P 500 の投資信託を両方持っている場合を考えます。商品は二つあります。証券口座の画面でも、別々の投資信託として表示されます。しかし、リスクが完全に分散されているわけではありません。オルカンの中にも米国株は大きく含まれています。そのうえで S&P 500 を追加すると、米国株への比重はさらに高くなります。これは悪いことではありません。

ただし、自分では世界分散しているつもりでも、実際には米国株にかなり寄っている、ということはあり得ます。

資産クラスを分ける

分散投資でまず見るべきなのは、資産クラスです。株式、債券、預金、REIT、金、外貨建て資産。これらは、値動きの性質が違います。株式は成長を取りに行く資産です。一方で値動きは大きくなりやすいです。預金は値動きが小さく、生活防衛資金として使いやすいですが、インフレには弱い面があります。債券は金利の影響を受けます。REIT は不動産市況と金利の影響を受けます。

分散する対象確認したいこと
資産クラス株式、債券、預金、REIT、金などにどう分かれているか。
地域日本、米国、先進国、新興国への偏りがないか。
通貨円建て資産とドル建て資産の比率がどうなっているか。
時間一括投資か、毎月積立か、買う時期が偏っていないか。
制度NISA、特定口座、預金、年金などの使い分け。
生活費投資資産とは別に、すぐ使える現金を確保しているか。

分散投資は、商品の数を増やすことではありません。自分がどの資産、どの国、どの通貨、どの時間にリスクを取っているのかを見えるようにすることです。

通貨を分ける

日本で生活していると、収入も支出も基本的には円です。その一方で、米国株や全世界株式の投資信託を持つと、実質的には外貨建て資産を持つことになります。円安になれば、外貨建て資産の円換算額は増えやすくなります。逆に円高になれば、円換算額は下がりやすくなります。つまり、分散投資では為替リスクも見なければなりません。円だけで持つのか。ドル建て資産も持つのか。外貨建て資産をどの程度まで許容するのか。

これは、単に投資商品の選択ではなく、生活通貨と資産通貨をどう分けるかという問題です。

時間を分ける

分散は、何を買うかだけではありません。いつ買うかも重要です。一括で買えば、その時点の価格に大きく影響されます。毎月積立なら、高い月も安い月も買うことになります。NISA の積立設定は、この時間分散をしやすくする仕組みでもあります。もちろん、積立なら必ず安全というわけではありません。下落相場では評価額が下がりますし、長期で見てもリスクはあります。それでも、買うタイミングを一点に集中させないという意味では、時間分散には価値があります。

生活防衛資金は投資とは別に考える

分散投資を考えるとき、投資商品の配分だけを見てしまいがちです。しかし、生活防衛資金は別に考える必要があります。急な出費、失業、病気、引っ越し、家電の故障。こうした支出に対応するお金まで投資に回してしまうと、相場が下がったときに売らざるを得なくなります。投資資産の分散だけでなく、すぐ使える現金をどれだけ残すかも、リスク管理の一部です。

まとめ

分散投資は、いろいろな商品を買うことではありません。オルカンと S&P 500 を両方持っていても、米国株への偏りが強くなることがあります。日本株と米国株を持っていても、通貨や業種が偏っているかもしれません。重要なのは、何を分散しているのかを見ることです。資産クラス、地域、通貨、時間、制度、生活費。それぞれを分けて見ると、自分がどこにリスクを集中させているのかが分かります。

分散投資とは、商品数を増やすことではなく、リスクの置き場所を見えるようにすることです。

分散投資を考えるときは、保有商品の名前ではなく、中身を見た方がよいです。オルカン、S&P 500、日本株、預金、外貨建て資産が、自分の生活とどのようにつながっているのかを確認することが重要です。

参考
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