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SansAmp Bass Driver DI v2 レビュー – Blend、Mid Shift、3 系統出力の使い方

Tech 21 SansAmp Bass Driver DI は、ベース用プリアンプ / DI の定番として長く使われてきた機材です。単に楽器信号を XLR で送るだけでなく、アナログ回路でプリアンプ、パワーアンプ、スピーカーキャビネットに由来する質感を作り、ライン直結でもベースアンプらしい存在感を加えます。

ただし、キャラクターは明確です。ベース本体の音をできるだけ変えずに送りたい場合と、SansAmp の回路を通した音を完成形として PA へ渡したい場合では、求めるものが異なります。定番だから選ぶのではなく、どの程度 SansAmp らしさを信号に加えるかを決めて使う機材です。

Sans
Amp
ベース用プリアンプ / DI

Tech 21 SansAmp Bass Driver DI v2

Blend、Mid、Bass Shift、3 系統出力を備えたベース用プリアンプ / DI です。旧型と v2 ではコントロールが異なるため、中古品は外観とノブ構成を確認してください。

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旧型と Version 2 はミドル調整が違う

SansAmp Bass Driver DI の評価では、旧型と現行の Version 2 を分ける必要があります。旧型は Drive、Bass、Treble、Presence、Blend、Level という構成で、独立した Mid ノブがありません。そのため、「ミドルを細かく調整しにくい」という評価には理由がありました。

Version 2 では Mid ノブが追加され、Mid Shift で中心周波数を 500 Hz と 1 kHz から選べます。さらに Bass Shift で Bass コントロールの周波数を 40 Hz と 80 Hz から選べるようになりました。Tech 21 は、5 弦、6 弦ベースの低い音域へ対応するための変更と説明しています。

つまり、現行 v2 を前提にするなら、「SansAmp Bass Driver DI はミドルを調整できない」という説明は正確ではありません。中古で旧型を選ぶのか、Mid / Bass Shift がある v2 を選ぶのかで、音作りの範囲が変わります。

SansAmp の中心は Blend にある

Blend は、ダイレクトな楽器信号と SansAmp のチューブアンプ・エミュレーション回路の割合を調整します。Blend を上げるほど、倍音、ドライブ、キャビネットシミュレーションを含む SansAmp 側のキャラクターが強くなります。

私は SansAmp の魅力を、「ライン臭さを消す」ことより、素のライン音にアンプを通したような密度と押し出しを意図的に加えられることだと感じています。ロックやピック弾きでは、アタックと高次倍音がバンドの中で輪郭を作りやすく、SansAmp らさが長所になります。

一方、Blend を最小にしても、Mid、Bass、Treble、Level は動作します。Blend を下げることは、ペダル全体をバイパスすることと同じではありません。アンプエミュレーションを減らし、アクティブ EQ と出力レベルは残す使い方ができます。

Drive、Presence、Treble の関係

Drive は入力感度とゲイン、オーバードライブの量に影響します。ベース本体の出力と弾き方にも反応するため、同じノブ位置でも、パッシブベースと出力の高いアクティブベースでは歪み方が変わります。

Presence は高次倍音とアタックの質感に影響し、Treble は高域の量を調整します。両方を同じ「高音」として上げると、ノイズや弦の擦れる音が必要以上に前へ出ることがあります。滑らかな高域を残したいなら Presence を下げ、アタックと歪みの倍音を前へ出したいなら Presence を上げると、違いが分かりやすくなります。

Version 2 の Mid / Bass Shift をどう選ぶか

スイッチ選択肢考え方
Mid Shift500 Hz / 1 kHz500 Hz はベースの太さや箱鳴り感、1 kHz は輪郭やアタック寄りの中域を扱いやすい
Bass Shift40 Hz / 80 Hz40 Hz は超低域へ影響し、80 Hz は通常の小型スピーカーでも聴感上の太さを確認しやすい

どちらの位置が正しいかではなく、ベースのチューニング、バンド内の他楽器、PA やキャビネットの再生能力で決めます。特に 40 Hz を大きくブーストすると、小型キャビネットでは音量の割に輪郭が増えず、ヘッドルームだけを消費する場合があります。

3 系統の出力は同じ信号ではない

出力信号主な接続先
Balanced XLR Outputフットスイッチに応じたエフェクト音 / バイパス音、-20 dB パッドありPA ミキサー、録音機材
1/4 inch Outputフットスイッチに応じたエフェクト音 / バイパス音、+10 dB ブーストありベースアンプのフロント、エフェクトリターン、パワーアンプ
Parallel Output入力とハードワイヤされたアンエフェクト信号ステージ上のベースアンプ、別系統の録音

ライブでは、XLR から SansAmp で作った音を PA へ送り、Parallel Output から素のベース信号をベースアンプへ送る構成が取れます。ベースアンプのプリアンプを迂回し、SansAmp をプリアンプとして使う場合は、エフェクトリターンまたはパワーアンプ入力へ接続します。

このとき、XLR の -20 dB パッドとフォーン出力の +10 dB ブーストは、接続先の入力レベルに合わせて選びます。スイッチの名前だけで決めず、ミキサーやアンプの入力がクリップしていないかを確認します。

バイパス時はアクティブ DI として使える

フットスイッチをオフにすると、SansAmp のチューブアンプ・エミュレーション回路がバイパスされ、アクティブ方式の透明な DI として動作します。XLR 出力と 1/4 inch Output はフットスイッチの状態に従うため、オンとオフで PA へ送る音も変わります。

これは、曲によって SansAmp のキャラクターを入れたり外したりする使い方に向きます。ただし、オンとバイパスで音量が大きく変わると PA 側の運用が難しくなるため、リハーサルの段階で Level を調整し、切り替え時の音量差を確認しておく必要があります。

ファンタム電源とグランド接続

Bass Driver DI v2 は、9 V 電池、センターマイナスの 9 V DC 電源、XLR 経由のファンタム電源で動作します。公式マニュアルでは、最低 24 V、LED を点灯させるために 48 V を推奨しています。

Phantom & Ground Connect スイッチは、ファンタム電源の受電とグランドリフトに関わります。ミキサーのみへ XLR 接続する場合はグランドを接続し、ファンタム電源を使える状態にします。ミキサーと、独自の AC グランドを持つベースアンプの両方へ接続する場合は、ハムの有無を確認しながらグランドリフトを選びます。

ハムが出たときにスイッチだけで無理に押さえ込むのではなく、異なる電源系統や古い機材のアース不備がないかも確認すべきです。マニュアルも、旧式機材の不十分なグランドに注意を促しています。

SansAmp の音をどう評価するか

私は SansAmp Bass Driver DI を、ドンシャリ気味の気持ちよさ、アタック、ドライブ感を作りやすい機材だと感じています。特にロック寄りのピック弾きや、ラインでもベースアンプのような存在感を残したい場面では、素早く方向性を作れます。

その反面、Drive、Presence、Blend、EQ を大きく動かすと、ベースや弾き手の違いより SansAmp のキャラクターが前へ出やすくなります。「SansAmp を使うとみんな同じ音になる」という言い方は雑ですが、強い設定で使えば機材の個性が支配的になること自体は不自然ではありません。

それは欠点ではなく、設計上の役割です。素の音をできるだけ保ちたいなら Blend と Drive を抑える。アンプ的な存在感を音作りの中心に置くなら、SansAmp 回路を明確に効かせる。その範囲を意図的に決められることが、この機材を使う意味です。

EBS MicroBass II、BOSS DI-1 との違い

機材中心的な役割向く使い方
SansAmp Bass Driver DI v2アンプ / キャビネット的な質感を作り、DI で送るロック、ドライブ、ラインでの存在感を重視する
EBS MicroBass II2 チャンネル、EQ、ドライブ、FX ループ、DI を統合するクリーン音を土台に、複数の入出力を管理する
BOSS DI-1楽器信号をバランス伝送する音作りと DI を分離し、色付けを必須にしない

まとめ

SansAmp Bass Driver DI v2 は、ベースの信号にアナログのアンプ・キャビネットエミュレーションを加え、XLR またはフォーン出力で送れるプリアンプ / DI です。Version 2 では Mid / Bass Shift が追加され、旧型の弱点だったミドル調整と多弦ベースの低域への対応が拡張されています。

この機材の価値は、ノブを上げれば自動的に良い音になることではありません。ダイレクト信号と SansAmp 回路の比率、ゲインと倍音、ミドルと低域の中心、PA とステージアンプへ送る信号を分けて設計できることにあります。

参考情報

製品仕様、Version 2 の変更点、出力や電源の説明は、Tech 21 公式の Bass Driver DI 製品ページで確認できます。この記事では、公式仕様を前提に、ベースで使うときの Blend、Mid / Bass Shift、出力の分け方を中心に整理しています。

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