Eric Czar は、日本語ではあまり情報が多くないベーシストです。ただ、演奏を聴くと、単に珍しい存在というより、かなり高い技術と音楽性を持ったプレイヤーだと感じます。確認した動画は本人チャンネルの ERIC CZAR “6 string Fretless Bass Sonata” で、現在も再生と埋め込みが可能な状態でした。
6 弦フレットレスベースは、それだけで扱いの難しい楽器です。音域が広く、音程の自由度も高い一方で、少しでもコントロールが甘いと、音程、音色、フレーズの輪郭が崩れます。Eric Czar の演奏が面白いのは、その難しさを見せ物にせず、音楽の表情として扱っているところです。
6 弦フレットレスは自由度が高すぎる
6 弦ベースは高音域まで使えるため、メロディ、コード、ソロ的なフレーズを広く扱えます。そこにフレットレスの滑らかな音程変化が加わると、表現の幅はさらに広がります。ただし、自由度が高いということは、同時に制御する要素も増えるということです。
フレットレスでは、フレットが音程を決めてくれません。高音域へ行くほど少しのズレが目立ちます。さらに 6 弦の広い音域を使う場合、低音の支え、高音の歌い方、コード感、ミュートを同時に管理する必要があります。Eric Czar の演奏は、その危うさを技術で抑え込みながら、音楽として成立させています。
タッピングより音程と響きが前にある
この手の演奏では、タッピングや高速フレーズに目が行きやすいです。しかし Eric Czar の演奏では、奏法そのものよりも、音程の揺れ、音の伸び方、コードの響きが前に出ています。テクニックは強いのに、見せつけより音楽性が残るのは、そのためだと思います。
タッピングを使う場合でも、発音の瞬間だけでなく、音が残る時間と次の音へのつながりが重要です。フレットレスでは音が滑らかにつながるため、雑に弾くと輪郭がぼやけます。逆にうまく扱うと、通常のフレット付きベースとは違う歌い方ができます。
低音楽器としての重心をどう残すか
6 弦フレットレスで高音域やコードを使うと、ベースが低音楽器であることを忘れやすくなります。高い音を弾ける、コードを鳴らせる、メロディを歌わせられる。できることが増えるほど、曲の下側を支える役割が薄くなる危険があります。
Eric Czar の演奏を聴くと、ソロ的な場面でも低音の重心が完全には消えません。高音域を使う場面と低音側に戻る場面があり、ベースとしての位置が残っています。技巧が強いほど、この戻り方が重要になります。
プロフィールは演奏から確認する
Eric Czar については、日本語で確認しやすい情報が多いわけではありません。そのため、出身や経歴を無理に広げるより、本人チャンネルで確認できる演奏をもとに特徴を整理した方が安全です。
少なくともこの動画からは、6 弦フレットレスベースを単なる特殊楽器としてではなく、音程、響き、メロディ、コード感を扱うための楽器として使っていることが分かります。珍しさではなく、音楽として聴けるところが大きな魅力です。
聴くときのポイント
- フレットレスの音程が、どのくらい安定しているか
- 高音域のメロディが、ベースの低音役割から浮いていないか
- タッピングやコードが、見せ技ではなく響きとして機能しているか
- 音が伸びる場面と止まる場面をどう使い分けているか
- 6 弦フレットレスの自由度を、音楽の構造としてどう整理しているか
参考リンク
まとめ
Eric Czar は、6 弦フレットレスベースの技巧と音楽性を両立しているベーシストです。情報量は多くありませんが、演奏そのものには強い説得力があります。
6 弦、フレットレス、タッピング、コード感という要素は、どれも派手に見えます。しかし、この演奏で残るのは珍しさよりも、音程、響き、低音の重心をどう整理するかという音楽的な部分です。そこに Eric Czar の面白さがあります。
作品
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