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茂木健一郎『脳が変わる考え方』を読んで考えたこと

茂木健一郎さんの『脳が変わる考え方』を読んだのは、かなり前のことです。元の記事では「面白くて一気に読めた」とだけ書いていましたが、それだけでは、なぜこの本が印象に残ったのかがほとんど伝わりません。今あらためて書き直すなら、この本で気になったのは、脳科学の知識そのものよりも、ものの見方をどう変えるかという部分だったと思います。

本を読んだ当時の自分は、考え方や嗜好に共通するところを感じながらも、それを体系立てて言語化する力が足りないと感じていました。茂木健一郎さんの文章には、脳、感情、学習、好奇心、偶然性といった要素を、日常の言葉に引き寄せながら扱うところがあります。専門用語だけで閉じるのではなく、自分の経験や感覚と結びつけて考えられるところが読みやすかったのだと思います。

脳科学の本というより、考え方の本として読んだ

『脳が変わる考え方』というタイトルを見ると、脳科学の知識を学ぶ本のようにも見えます。もちろん、脳の働きや学習、感情に関する話は出てきます。しかし、自分にとって重要だったのは、脳を固定されたものとして見るのではなく、経験や習慣によって変わりうるものとして捉える視点でした。

人は、自分の性格や能力をかなり早い段階で決めつけてしまうことがあります。自分はこういう人間だ、自分にはこれは向いていない、自分の考え方は変わらない。そのように思ってしまうと、経験から受け取れるものが狭くなります。この本の面白さは、そうした固定観念に対して、脳や思考はもう少し可変的なものだと示してくれるところにありました。

ただし、何でも前向きに考えればよいという単純な自己啓発として読むと、少し違う気がします。考え方が変わるというのは、気分だけの問題ではありません。何を見て、何に反応し、何を学習し、どの経験を次の判断に接続するのか。その積み重ねによって、自分の見方そのものが少しずつ変わっていくという話だと思います。

体系的に考えを整理する難しさ

元の記事に書いていた「体系的に考え方を整理できるようになるには、まだまだ勉強が必要」という感覚は、今でも分かります。考え方に共感することと、その考え方を自分の言葉で構造化できることは違います。読んでいるときには分かったような気がしても、いざ説明しようとすると、どこが本質なのかを取り出せないことがあります。

茂木健一郎さんの文章が読みやすいのは、話題を広げながらも、好奇心や学習、偶然性、身体感覚といった軸に戻ってくるからだと思います。単に思いつきを並べているのではなく、複数の話題を一つの見方に接続している。そこに、読む側としては軽さを感じる一方で、書く側としては簡単には真似できない難しさがあります。

読書で重要なのは、内容を丸ごと覚えることではなく、自分の考え方のどこが少し変わったのかを掴むことだと思います。読んだ直後の感想は小さくても、後から振り返ると、その本が自分のものの見方に残っていることがあります。

「変わる」とは、別人になることではない

脳が変わる、考え方が変わるという表現には、少し大きな変化を期待してしまうところがあります。しかし、実際には急に別人になるわけではありません。むしろ、これまで気づかなかった見方が一つ増える、反応の仕方が少し変わる、経験の受け取り方が少し変わる。その程度の変化の方が現実的です。

それでも、その小さな変化には意味があります。たとえば、うまくいかなかった経験をただの失敗として閉じるのか、次の判断材料として扱うのか。偶然出会ったものを無関係な出来事として流すのか、自分の関心と接続して考えるのか。こうした差は、時間が経つほど大きくなります。

この本を読んだとき、自分が惹かれたのは、そうした変化の捉え方でした。能力や性格を固定的に見るのではなく、経験の扱い方によって自分の内側の回路が少しずつ変わっていく。その見方は、今の自分の考え方にもかなり残っている気がします。

読書感想として残しておく意味

昔の記事は、文章としてはかなり短いものでした。ただ、短いから価値がないというより、その時点で自分がどこに反応したのかだけは残っています。今回書き直してみると、当時の自分は、脳科学の知識よりも、考え方を体系化する力に関心を持っていたのだと分かります。

読書感想は、書評のように本を正確に評価するものとは少し違います。もちろん、著者や本の内容に対する敬意は必要です。しかし、自分のブログに残すのであれば、その本を読んで、自分の何が動いたのかを書く方が意味があります。内容紹介だけなら、目次や出版社の紹介文を読めば済んでしまうからです。

『脳が変わる考え方』について言えば、自分に残ったのは、考え方は固定されたものではなく、経験と解釈の積み重ねで変わっていくという感覚でした。そして、その変化を捉えるためには、感じたことをそのまま流すのではなく、言葉にして整理する必要がある。昔の短い感想を書き直してみて、むしろそのことを強く感じます。

まとめ

茂木健一郎さんの『脳が変わる考え方』は、脳科学の知識を得るためだけの本というより、ものの見方や学び方を少し柔らかくするための本として読めました。自分の考え方は固定されているように見えても、経験の受け取り方や言語化の仕方によって少しずつ変わっていく。その感覚が、この本を読んだあとに残ったものです。

一気に読めた本ほど、読後の印象だけで終わらせてしまいがちです。しかし、なぜ面白かったのか、どこに自分が反応したのかを後から整理すると、その本が自分の思考にどう残っているのかが見えてきます。読書感想を書く意味は、そこにあるのだと思います。

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書籍
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