2024 年 4 月 10 日、ドル円相場は 1 ドル 152 円台に下落しました。これは単なる節目突破ではなく、米 CPI、日米金利差、円キャリートレード、為替介入への警戒が重なった市場イベントでした。
当時の感覚としては、「ついに 152 円を抜けた」という印象が強かったです。日本当局がどこで為替介入に動くのか、市場がそれを試しにいくような局面でもありました。
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152 円突破の背景
この円安局面で大きかったのは、米国のインフレ指標です。米 CPI が市場予想を上回ると、米国の利下げ開始が遅れるとの見方が強まります。すると米金利は高止まりしやすくなり、ドルが買われやすくなります。
一方、日本では日銀がマイナス金利を解除した後も、金融環境はなお緩和的でした。つまり、日銀が歴史的な政策転換をしても、日米金利差がすぐに縮まるわけではなかったということです。
- 米 CPI が強く、米利下げ期待が後退した
- 日米金利差が縮まりにくいとの見方が強まった
- 円キャリートレードが続きやすい環境だった
- 152 円突破で介入警戒と投機的な値動きが重なった
- 日本の緩和的な金融環境が円安圧力として残った
マイナス金利解除でも円は救われなかった
2024 年 3 月に日銀はマイナス金利を解除しました。普通に考えれば、日本の金利が上がることで円高に振れてもよさそうです。しかし実際には、円安は止まりませんでした。
理由は単純で、政策金利の水準がまだ低く、米国との金利差が大きく残っていたからです。市場は、マイナス金利解除そのものよりも、その後にどれだけ利上げが続くのかを見ています。
日銀が慎重に正常化する姿勢を見せるほど、為替市場では「まだ円を買う理由は弱い」と見られやすくなります。ここに、植田日銀の難しさがあります。
円キャリートレードが円安を支えた
円安を考える上では、円キャリートレードも重要です。低金利の円で資金を調達し、高い利回りが期待できる外貨資産へ投資する取引です。
日本の金利が低く、米国などの金利が高い状態では、この取引は成立しやすくなります。円を売ってドルを買う動きが続けば、円安はさらに進みやすくなります。
つまり、152 円突破は単に米 CPI に反応しただけではなく、低金利の円を売る構造が残っていたことの表れでもあります。
為替介入への警戒はあったが、流れは止まらなかった
152 円台に入ると、日本当局による円買い介入への警戒感が高まりました。過去にも円安局面で介入が行われており、市場参加者は政府・日銀の発言や水準を強く意識していました。
しかし、為替介入への警戒があるだけでは、円安の流れは止まりません。米金利が高く、日米金利差が残り、円キャリートレードが続くなら、市場は当局の防衛ラインを試しにいきます。
当時の私の感覚としても、介入があったとしても、それが根本的な反転になるのかは疑問でした。むしろ、介入後の戻りがドル円の押し目として見られる可能性もあると感じていました。
152 円突破が示したもの
152 円突破は、単なる為替レートの更新ではありません。日本の金融政策転換だけでは円安を止められず、米国のインフレと金利、円キャリー、日本の産業構造が重なって円が売られていたことを示しています。
この局面では、円安を「一時的な市場の行き過ぎ」とだけ見るのは弱いと思います。日米金利差だけでなく、日本が外貨を稼ぐ力を十分に持てていないこと、海外サービスや資源への依存が大きいことも、円の弱さにつながっています。
為替介入で一時的に円高へ戻せても、日本経済の構造が変わらなければ、円安圧力は繰り返し戻ってきます。
まとめ
ドル円が 152 円台に入ったことは、米 CPI の強さ、米利下げ期待の後退、日米金利差、円キャリートレード、為替介入への警戒が重なった出来事でした。
日銀がマイナス金利を解除しても、それだけでは円安は止まりませんでした。市場は、政策変更そのものではなく、日米金利差が本当に縮まるのか、日本経済が円安に耐えられるのかを見ています。
152 円突破は、超円安時代の入口というより、日本が長く抱えてきた金融政策と産業構造の問題が、為替市場で分かりやすく表面化した出来事だったと思います。


