Brad Russell は、2 フィンガー、タッピング、スイープ、スラップのようなテクニックを、曲の中で切り替えて使うベーシストです。派手な奏法を並べるだけではなく、メロディ、コード感、リズムの役割を行き来しながら、少人数の演奏を成立させるところが面白いです。
特に印象に残っているのは、Chick Corea の「 Spain 」を Steve Smith と演奏している動画です。確認した動画は Brad Russell & Steve Smith – Spain で、現在も再生と埋め込みが可能な状態でした。
資料
Chick Corea「 Spain 」関連音源を探す
原曲や関連演奏を確認したい場合の検索リンクです。価格、在庫、収録内容はリンク先で確認してください。
Amazon で見るこのリンクは Amazon アソシエイトリンクです。
プレイスタイル
- 主な音楽ジャンル: フュージョン
- 主な奏法: 2 フィンガー、タッピング、スイープ、スラップ
- 使用楽器の印象: Warwick 系の 4 弦ベース
- 聴きどころ: ベースとドラムだけで曲の骨格を作る構成力
テクニックを見せながら曲にする
テクニックが多いベーシストは、演奏が技術の披露に寄りすぎることがあります。速い、派手、珍しいという方向に引っ張られすぎると、曲の流れよりもプレイヤーの手元ばかりが目立ってしまいます。
Brad Russell の面白さは、複数のテクニックを使いながらも、曲としての流れを作っているところです。タッピングやスイープは、単に音数を増やすためではなく、メロディやコード感を補うために使われています。スラップも、派手なアクセントではなく、リズムの押し出しや曲の推進力として機能しています。
「 Spain 」をベースとドラムだけで成立させる
Chick Corea の「 Spain 」は、メロディ、ハーモニー、リズムの要素が強い曲です。それをベースとドラムだけで演奏する場合、ベースは単に低音を弾くだけでは足りません。メロディを提示し、コード感を示し、リズムを支え、必要なところでソロ的にも前に出る必要があります。
Brad Russell の演奏では、ベースが曲の複数の役割を切り替えながら進んでいきます。低音で支える場面、コード的に広げる場面、メロディを弾く場面、リズムで押す場面が自然につながっています。少人数編成で曲を成立させるには、この切り替えの速さと説得力が重要です。
ここで重要なのは、ベースが何でもできるということではありません。何でもできるからといって、全部を同時に詰め込むと音楽は散らかります。Brad Russell の演奏が面白いのは、必要な場面で必要な役割へ切り替えているところです。そこに、テクニックをバランスよく使うという印象が生まれます。
4 弦ベースで広く見せる面白さ
Brad Russell には、Warwick 系の 4 弦ベースを使っているイメージがあります。6 弦ベースのように音域を大きく広げる方向ではなく、比較的標準的な範囲の中で、奏法やポジション、音色の使い方によって演奏を広く見せているところが面白いです。
4 弦ベースは、楽器としての制約が分かりやすいぶん、何をどう弾くかがはっきり出ます。タッピングやスイープのような技術を使っても、低音楽器としての芯を失わずに曲を進めるには、かなり整理された弾き方が必要です。
聴くときのポイント
Brad Russell を聴くときは、個々のテクニックだけでなく、それらが曲中でどう切り替わるかを見ると分かりやすいです。派手な奏法をどれだけ持っているかではなく、どの場面で何を使い、どこで引くのかを見ると、この人の器用さが見えてきます。
- タッピングやスイープが、メロディやコード感を補うために使われているか
- スラップが単なる派手さではなく、リズムの推進力になっているか
- ベースとドラムだけで、曲の構造をどう維持しているか
- 低音、メロディ、コード、リズムの役割をどう切り替えているか
- 技巧を見せながらも、曲の流れを壊していないか
参考資料
まとめ
Brad Russell は、テクニックを多く持っているだけでなく、それを曲の中で使い分けるベーシストです。「 Spain 」のような曲をベースとドラムだけで成立させるには、低音、メロディ、コード、リズムの役割を素早く切り替える必要があります。その切り替えの自然さが、この人の器用さであり、演奏の面白さだと思います。

