最近ではスマートフォンの普及が目覚ましいです。企業内では、ネットワークやサーバーのインフラ系 IT ソリューションにおいても、スマートフォンをどう活かしていくかについて積極的に議論されています。しかし、スマートフォンを業務に活用する実践的なソリューションは意外にも少ないように思われます。
例えば、業務でスマートフォンを使用する場合、よくあるのは社内イントラにセキュアに VPN 接続し、そこから自分の業務 PC や社内イントラのサーバーへアクセスすることです。これまでは IPSec が主流でしたが、SSL-VPN に移行することも検討されています。
確かにこれは便利な方法ですが、本質的に考えると、これは以前からあるリモートアクセスの方法であり、何も新しいことはありません。技術トレンドに鈍感なエンジニアたちは、これを最新の技術トレンドだと錯覚しているようですが、VPN 接続はスマートフォンの標準機能であり、コンシューマー向けの製品です。その VPN 接続の方法を知ったからといって、それがエンジニアであるかのようなものではありません。それは携帯販売員の仕事です!といったところでしょうか。近くの席に座っているだけで、絶対に仲間だとは思われたくありません。
こうした当たり前のことを置いておいて、スマートフォンの業務利用で真価を発揮するためには、優れたアプリ開発が重要だと考えます。VPN 接続ができても、標準のブラウザやフリーの RDP などの画面転送ソフトを使用するのでは、十分な活用ができないと感じます。
おそらく、インフラ系 IT ソリューションでは、iPhone や VPN などのキーワードでしか社内調整が行われておらず、上層部も単に「おお、iPhone か、素晴らしい」という程度の反応しかできていないのでしょう。こうした点が、日本企業の悪いところの一例です。ユーザーの視点に立っていないのです。つまり、本質から完全にずれていると思います。スマートフォンの業務利用の完成形を見るのは、まだまだ先のことのようです。