ベテルギウスは、オリオン座の右肩(人間からみると左上)の 1 等星であり、オリオン座といえば冬の南の空に輝く誰もがよく知っている星座です。ところが、ここ数年以内にベテルギウスが超新星爆発を起こして無くなってしまうかもしれないとの情報がありました。
最初にベテルギウスの基礎情報をまとめておきましょう。
- こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウスと合わせて冬の大三角を構成します。
- 地球から約 640 光年離れています。これは宇宙規模だと結構近い方だと言えます。
- 太陽のおよそ 20 倍の質量を持ち、大きさは半径 7 億 Kmで太陽の 1000 倍となります。いかに巨大かが分かりますね。
超新星爆発を説明してきましょう。それには、恒星の仕組みから説明していく必要があります。できるだけ簡単に説明してきます。
私たちの身近な恒星は太陽ですが、恒星が膨大なエネルギーを放出しているのは、核融合反応によるものであり、それは外向きの力です。一方、巨大な質量は内部へ向かう重力も強力であり、恒星はその外向きの力(核融合)と内向き(重力)の力が釣り合って、あのような球体を保っています。このため、恒星の内部で起こる核融合のエネルギーは重力から解放されて出力されるまでも膨大な時間がかかっています。
次に、核融合反応とは、軽い原子核が合体してより重い原子核が生成されることです。その際、その原子核の質量はわずかに減少しますが、この減少分が核融合で放出されるエネルギーの実体です。これは、アインシュタインの有名な方程式である E=mc² に基づいてエネルギーに変換されています。E はエネルギー、m は質量、c は光速です。原子核が重くなるほど、大きなエネルギーを必要としますが、恒星が核融合できるのは鉄までと言われています。
鉄になると、それ以上の核融合はできなくなります。つまり、この時点で、恒星の形を保っていた外向きの力(核融合)と内向き(重力)の力が釣り合わなくなるのです。
そして、一気に中心に向かって全てが落ち、それが中心にぶつかることで、跳ね返るエネルギーが超新星爆発となります。超新星爆発は今までの説明から想像できるように膨大なエネルギーを放出します。超新星爆発を英語で言うと「スーパーノヴァ」です。補足として中性子性同士の合体による爆発は「キロノヴァ」と言われます。ゲームのようなネーミングでカッコいいですね!
ベテルギウスは現在、赤色超巨星と呼ばれる恒星の末期状態にあり、いつ超新星爆発を起こしてもおかしくない状態にあります。
ベテルギウスで超新星爆発が起きれば、地球から見れば太陽が 2 つあるような状態となり夜も明るい状態が続くと言われています。でも、ベテルギウスと地球の距離は 640 光年であり、もし今、超新星爆発が起こったとしたらそのエネルギーが届くのは 640 年後ですね。