前回、ベテルギウスの記事を書いたのは、もうだいぶ前になりますが(前回の記事)、ベテルギウスの超新星爆発に関する最新の記事(本稿最下部の引用箇所)がありました。
その記事の要点は、以下の通りです。
- オリオン座の 1 等星ベテルギウスの明るさが 1 月下旬から 0.5 等低下しており、超新星爆発の可能性が注目されている。
- 今すぐの爆発は低い可能性があるが、将来的に 10 万年以内に爆発が確実である。
- ベテルギウスのコアが炭素を使い果たすことによって超新星爆発につながる可能性があり、数十年以内に崩壊が起こると予想されている。
- ベテルギウスは大減光や形状の変化を経験し、これは通常の変光星の特徴であるが、観測史上初めての大規模な変動だった。
- ベテルギウスの大減光に関する説として、対流によるコールドスポット、脈動や他の恒星との相互作用、赤色超巨星からの塵の放出が挙げられる。
- HST の画像から、ベテルギウスの内部から噴出した物質で形成された塵の雲が光を遮っていたことが確認された。
- ベテルギウスの爆発後、数カ月間は満月ほどの明るさで輝き、その後肉眼では見えなくなるが、日中でも観測できるかもしれない。
- ベテルギウスが爆発するなら、12 月から 4 月にかけての期間にその光景を観測できる可能性がある。
内容からは、 実際に超新星爆発となるのは 10 万年以内、その超新星爆発につながるコアの崩壊が数十年以内とされているようです。
この記事で、私が注目したのは、「超新星の危険地帯とされる 50 光年」の箇所でした。それを前提であれば、ベテルギウスは地球から 約 640 光年離れているので全く問題ないと言えますよね。一方で、SN 1054という 1054 年 7 月 4 日に世界各地で広範囲に観測された超新星があります。この超新星は、中国や日本、アラブにおいて、23 日間にわたって日中でも見えるほどに輝いたと記録が残っていますね。現在では「かに星雲」がそれの残骸となっており、「かに星雲」と地球の距離は約 6400 光年です。
「超新星の危険地帯とされる 50 光年」という見込みは、科学者たちが高い精度で導き出したのだと思いますが、約 6400 光年離れた超新星で「23 日間にわたって日中でも見えるほどに輝いた」と記録されていることを考えると、ベテルギウスは地球から 約 640 光年しか離れておらず、単純に 1/10 ですね。そうすると威力も 10 倍?などと考えてしまいました。そんな単純なものではないと思っていますが、生きている内に見れるか分からない壮大な天体ショーへの期待と怖さが私の中で混在しています。
オリオン座のベテルギウスに再び異変、「超新星爆発」間近か
北半球の冬の夜空に見える代表的な星座の1つ、オリオン座の「肩」の位置で輝く1等星ベテルギウスは、太陽系の最も近くにある赤色超巨星だ。
全天で10番目に明るい恒星と考えられているが、天文情報サイトのEarthSkyやSky&Telescopeが伝えている最新の研究結果によると、ベテルギウスの明るさが1月下旬から0.5等低下しているという。超新星爆発が間近に迫っているのだろうか。
■胸躍る展望
今すぐ爆発する可能性は低いが、今後10万年以内には間違いなくベテルギウスが超新星爆発を起こすことがわかっている。恒星の一生では、それは本当に間近に迫っているが、天文学者らは今後の展望に胸を躍らせている。なぜなら天の川銀河(銀河系)内では17世紀以降、超新星爆発は観測されていないからだ。
2023年に発表された論文の予測では、ベテルギウスのコア(核)は300年足らずで燃料の炭素を使い果たし「超新星爆発につながるコアの崩壊が、数十年以内に起こると予想される」という。
明るさのわずかな変化でも大きな興味を引くのは、こういうわけだ。
■大減光
ベテルギウスは質量が太陽の20倍、大きさが太陽の1400倍で、太陽系から650光年の距離にある。つまり現在ベテルギウスで起きていることは、実際は650年前に起きたことで、地球では今まさにその光、あるいは減光が見えているにすぎない。それでも、ベテルギウスは「超新星の危険地帯」とされる50光年よりもずっと先にあるので、心配する必要はない。
2019年末から2020年初めにかけて、ベテルギウスの突然の「大減光」がメディアをにぎわせた。この間、明るさが通常の40%まで低下した後、徐々に元に戻った。形状も変化した。
約400日周期と6年周期で明るさが変動する変光星であることはすでに知られていたが「大減光」ほどの劇的な変動は観測史上初めてだった。
■質量放出
ベテルギウスの「大減光」に関しては、次のような複数の説が提唱された。
・対流によって南半球に形成されたコールドスポット(低温の領域)による見かけの減光
・脈動や他の恒星との相互作用によって引き起こされる通常の明るさの変化
・赤色超巨星から大量に放出される塵(固体微粒子)しかしながら、ベテルギウスの内部から「げっぷ」のように噴出した物質(質量放出)で形成された塵の雲が、地球から見えるベテルギウスの光の一部を遮っていたことが、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の画像から確認された。
■ため息が出るほど見事な光景
いつかベテルギウスは、II-P型超新星として爆発して非常に明るくなり、中性子星を後に残す。爆発から数カ月間は満月ほどの明るさで輝いた後、実質的に肉眼では見えなくなる。日中でも観測できるかもしれないが、夜間はため息が出るほど見事な光景になるだろう。だがそのためには、ベテルギウスが12月~4月の間に「超新星になる」必要がある。
ベテルギウスがもうすぐ爆発しそうなら、すぐにそうなることを期待しよう。日没後の水平線の向こうに沈み、太陽が照りつける中に昇るようになる前に。
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