2024 年 8 月 5 日、日本株は大きく下落しました。日経平均は 12%を超える下落となり、1987 年のブラックマンデー以来の大きな下げとして記憶される日になりました。
この日の下落は、単なる一日の相場変動として見るよりも、円安、低金利、円キャリートレード、米国景気懸念、日銀の政策転換が重なった結果として見る方が分かりやすいと思います。
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大暴落の背景
2024 年 8 月 5 日の急落には、複数の要因が重なっていました。
- 米国景気後退への懸念
- 米国雇用統計を受けたリスクオフ
- 日銀の利上げと国債買入れ縮小方針
- 円高方向への急速な巻き戻し
- 円キャリートレードの解消
- 日本株の輸出企業・円安メリット銘柄への過度な期待
- 夏場の流動性低下による値動きの増幅
ひとつの原因だけで説明するのは難しいです。むしろ、低金利の円を借りて高利回り資産へ投資する構造が積み上がり、そこへ日銀の利上げと米国景気懸念が同時に入ったことで、巻き戻しが一気に起きたと見る方が自然です。
円キャリートレードの脆さ
円キャリートレードは、低金利の円で資金を調達し、より高い利回りが期待できる海外資産へ投資する取引です。日本の低金利が長く続いたことで、この取引は非常にやりやすい環境にありました。
しかし、この構造は円安と低金利が続くことを前提にしています。日銀が利上げし、円が急に強くなると、円で借りた資金を返すコストが上がり、ポジションを閉じる動きが出ます。これが一斉に起きると、株式やリスク資産の売りにつながります。
つまり、2024 年 8 月 5 日の大暴落は、単に日本株が売られたというより、長く続いた円安・低金利前提の取引が急に巻き戻された現象として見るべきだと思います。
日銀利上げは悪だったのか
私は、日銀の利上げそのものは必要だったと思っています。以前整理した 植田日銀の政策転換 でも書いた通り、マイナス金利やゼロ金利をいつまでも続けることには強い違和感があります。
ただし、利上げは市場にとって痛みを伴います。低金利と円安を前提にしたポジションが積み上がっていれば、それを正常化する過程で大きな価格変動が起きるのは避けにくいです。
だから、2024 年 8 月 5 日の下落を見て「日銀が利上げしたから悪い」とだけ言うのは違うと思います。むしろ、低金利に依存した市場構造を長く放置してきたことの方が問題です。
円安で上がった株は円高で揺れる
前に書いた ドル円 158 円と日本の産業構造 の話ともつながります。円安は輸出企業や海外売上比率の高い企業の利益を押し上げ、株価の追い風になります。
しかし、円安で上がった株は、円高方向へ巻き戻れば当然揺れます。為替が利益を押し上げていたなら、為替が反転した時にその期待も剥がれます。これは当たり前のことですが、相場が上がっている時には見落とされやすいです。
円安メリットを株高の根拠にするなら、円高リスクも同時に見なければなりません。為替要因で作られた利益は、企業そのものの競争力とは別に剥がれる可能性があります。
円高で試される日本経済
元の記事でも書いていましたが、私は円高局面こそ日本の真価が試されると思っています。円安で輸出企業が助かる構造は、裏を返せば、円高になると苦しくなる構造です。
本当に強い産業であれば、為替だけに頼らず、製品、サービス、技術、ブランド、知的財産で稼げるはずです。円安でしか勝てないなら、それは価格競争に依存しているということでもあります。
円安と円高は必ず繰り返します。だからこそ、円安の時だけ利益が出る産業構造ではなく、円高でも価値を出せる産業構造へ変わる必要があります。
個人投資家としてどう見るか
このような急落は、個人投資家にとってかなり怖い出来事です。短期で大きく下がると、理由を探したくなりますし、すぐに売るべきか、買うべきかを考えたくなります。
ただ、こういう局面で重要なのは、予想を当てることより、自分がどの前提で投資していたのかを確認することだと思います。円安前提で買っていたのか、長期の企業価値を見ていたのか、指数に分散していたのか、短期の値動きに乗っていたのか。
前提が違えば、暴落時の判断も変わります。相場が大きく動いた時ほど、自分の投資理由を言語化できるかどうかが問われます。
まとめ
2024 年 8 月 5 日の大暴落は、米国景気懸念、日銀利上げ、円高、円キャリートレードの巻き戻しが重なった相場イベントでした。表面的には株価の急落ですが、その背景には長く続いた低金利と円安依存の構造があります。
日銀の利上げを単純に悪者にするのではなく、低金利に依存し、円安で株価を押し上げてきた市場構造そのものを見た方がよいと思います。
円安と円高は繰り返します。だからこそ、日本経済も投資家も、円安でしか成り立たない前提からどこまで離れられるかが重要です。2024 年 8 月 5 日の大暴落は、その脆さをかなり分かりやすく見せた出来事だったと思います。
なお、この記事は個人的な相場観の整理であり、特定の金融商品の売買を勧めるものではありません。




