集合とは?
集合とは、数学的な対象を扱う上で基本的な概念であり、「一定の性質を持つ個々の対象の集まり」を指します。この概念は古代から存在していましたが、数学者ゲオルク・カントールが集合論を厳密に体系化し、無限集合や集合の濃度などの概念を導入しました。集合は、我々の直感や思考によって区別された対象を要素とし、それらの要素を一つにまとめたものです。
集合と要素
集合の要素には、直感的なものと思惟的なものがあり、{} 内に要素を列挙することで表現します。
直感的な要素は、目で見たり手で触ったりできる具体的なもので、人や動物、果物などが含まれます。ある部屋に存在する果物の集合を F とすると以下のように表すことができます。
F={りんご, みかん, バナナ}
思惟的な要素は、抽象的なものであり、曜日や四季などが該当します。 曜日の集合を W とすると以下のように表すことができます。
W={月, 火, 水, 木, 金, 土, 日}
また、空集合という要素が一つも含まれていない集合があります。空集合は「∅」で表します。
∅={}
部分集合
集合 A が集合 B の部分集合であるとは、A の全ての要素が B に含まれることを意味します。つまり、A の要素が B の要素の一部であるという関係です。また、A と B の要素が同じでも問題ありません。部分集合は「⊆」で表します。左辺が含まれる側、右辺が含む側となります。また、前述の空集合は全ての集合の部分集合と言えます。
A⊆B
部分集合のうち、集合 A と 集合 B が等しい場合を除いて、A の全ての要素が B に含まれることを「真の部分集合」と言います。つまり、A が B の部分集合でありながら、A と B が異なる集合であることを示します。真の部分集合は「⊂」で表します。空集合はあらゆる集合の真の部分集合です。
A⊂B
無限集合
無限集合は、要素の数が無限に存在する集合であり、有限個の要素を持つ有限集合とは異なります。例えば、自然数の集合 N や整数の集合 I は、以下のように無限集合です。また、実数の集合や複素数の集合も無限集合です。
N={1, 2, 3, ...}
I={…, -3, -2, -1, 0, 1, 2, 3, ...}
自然数で n の倍数となっている数全体の集合を B (n) で表すと以下のようになります。
B(3)={3, 6, 9, 12, 15, ...}
B(7)={7, 14, 21, 28, ...}
無限集合にはさまざまな性質があります。例えば、自然数の集合は無限ですが、その要素を数え上げることはできません。また、無限集合の部分集合でも、無限集合となる場合があります。例えば、自然数の集合の部分集合である偶数の集合も無限集合です。
例題
(1-1) 5 の倍数の集合 B(5) を求めてください。
B(5)={5, 10, 15, 20, 25, ...}
(1-2) 8 の倍数の集合 B(8) を求めてください。
B(8)={8, 16, 24, 32, 40, ...}
(1-3) 10 の倍数の集合 B(10) を求めてください。
B(10)={10, 20, 30, 40, 50, ...}
(2) n の倍数の集合 B(n) の中で最も小さい数は?
n
(3) m の倍数の集合 B(m) と n の倍数の集合 B(n) があります。B(m)⊆B(n) のとき、m, n はどのような関係を持っていますか?
B(m)⊆B(n) = m∈B(m) = m∈B(n) の関係となるため、m は n の倍数です。「∈」は集合の要素を表します。
(4) 自然数 n に対して、n≦x となる自然数全体の集合を F(n) とすると、F(m)⊆F(n) のとき、m,n はどのような関係を持ちますか?
この関係を考える際、F(n) は自然数 n 以下の自然数全体の集合です。つまり、F(n) = {1, 2, 3, …, n} です。
したがって、F(m)⊆F(n) のとき、m に対しての集合 F(m) は n に対しての集合 F(n) の部分集合となります。つまり、m 以下の全ての自然数は n 以下の自然数にも含まれているということです。
これは数学的に言い換えると、m ≦ n ということになります。つまり、m が n 以下であるという関係が成り立ちます。
(5) 全ての素数の集合を P で表すと、P={2, 3, 5, 7, …} となります。全ての奇数の集合を K とすると、P⊆K は成り立ちますか?
P⊆K は成り立ちます。P は素数の集合であり、K は奇数の集合であるため、P の要素である素数はすべて奇数です。したがって、P の要素は K の要素でもあります。つまり、P は K の部分集合です。