Ubuntu 26.04 で複数 NIC を 1 つの論理インターフェイスとして扱う場合、Netplan で Bonding を構成できます。Bonding は単に帯域を増やす設定ではなく、冗長化、経路設計、switch 側の LAG / LACP 設定、default route の置き場を合わせて考える必要があります。
この記事では、Ubuntu 26.04 Server で Bonding を設定する時の考え方、active-backup と 802.3ad の違い、Netplan の設定例、反映後の確認ポイントを整理します。
この記事の位置づけ
Bonding は NIC を束ねるための Linux 側の設定です。ただし 802.3ad を使う場合は、Ubuntu 側だけでは完結しません。対向 switch の LACP / LAG / port-channel 設定と合わせて成立する構成として考えます。
Bonding は目的から決める
Bonding を設定する前に、まず目的を決めます。冗長化したいのか、複数リンクを束ねて帯域を使いたいのかで、選ぶ mode と switch 側の設定が変わります。
| 目的 | 代表的な mode | switch 側の考慮 | 見方 |
|---|---|---|---|
| リンク冗長化 | active-backup | 特別な LACP 設定を不要にしやすい | 片系断でも通信を継続する |
| 帯域集約 | 802.3ad | LACP / LAG / port-channel が必要 | 複数 flow を複数リンクへ分散する |
| 検証・単純構成 | active-backup | 構成差分が少ない | まず動作確認しやすい |
802.3ad は LACP を使うため、Ubuntu 側だけ設定しても成立しません。対向 switch の port-channel 設定、VLAN trunk / access の設計、hash policy、障害時の収束を合わせて確認します。
現在の NIC と経路を確認する
まず、現在のインターフェイス名、IP アドレス、routing table、既存の Netplan 設定を確認します。Bonding では物理 NIC を slave として扱うため、どの NIC を束ねるのかを先に固定します。
ip link
ip address
ip route
ls -l /etc/netplan
sudo cat /etc/netplan/*.yamlenp1s0 や enp2s0 のようなインターフェイス名は環境によって異なります。例をそのまま使うのではなく、自分の環境の NIC 名に読み替えます。
active-backup の設定例
冗長化を主目的にする場合は、まず active-backup が分かりやすいです。通常時は片方の NIC を使い、障害時にもう片方へ切り替えます。switch 側で LACP を組まない構成でも扱いやすいため、サーバー側の NIC 冗長化として使いやすい mode です。
sudo tee /etc/netplan/00-main.yaml >/dev/null <<'EOF'
network:
version: 2
ethernets:
enp1s0:
dhcp4: false
dhcp6: false
enp2s0:
dhcp4: false
dhcp6: false
bonds:
bond0:
interfaces:
- enp1s0
- enp2s0
parameters:
mode: active-backup
primary: enp1s0
mii-monitor-interval: 100
addresses:
- 10.0.10.20/24
- fd00::a00:1020/120
nameservers:
addresses:
- 10.0.10.53
- fd00::a00:1053
routes:
- to: default
via: 10.0.10.1
- to: default
via: fd00::a00:1001
EOF
sudo chmod 600 /etc/netplan/00-main.yamlこの構成では、IP アドレスを持つのは bond0 です。物理 NIC 側には IP アドレスを持たせません。
802.3ad / LACP の設定例
複数リンクを LACP で束ねる場合は 802.3ad を使います。ただし、単一通信が必ず複数リンク分の帯域になるわけではありません。多くの場合、flow の分散によって複数リンクを使います。
sudo tee /etc/netplan/00-main.yaml >/dev/null <<'EOF'
network:
version: 2
ethernets:
enp1s0:
dhcp4: false
dhcp6: false
enp2s0:
dhcp4: false
dhcp6: false
bonds:
bond0:
interfaces:
- enp1s0
- enp2s0
parameters:
mode: 802.3ad
lacp-rate: fast
mii-monitor-interval: 100
transmit-hash-policy: layer3+4
addresses:
- 10.0.10.20/24
routes:
- to: default
via: 10.0.10.1
nameservers:
addresses:
- 10.0.10.53
EOF
sudo chmod 600 /etc/netplan/00-main.yaml802.3ad では、switch 側の LAG / port-channel と Ubuntu 側の bond 設定が一致している必要があります。サーバー側だけ設定しても、対向 switch が通常の独立 port として扱っていれば通信は不安定になります。
Bonding の上に VLAN や Bridge を置く
Bonding は単体で使うこともできますが、仮想基盤では bond0 の上に VLAN を作り、その上に bridge を作る構成もあります。どの層に IP を持たせるかを決めておかないと、route や障害時の見え方が崩れます。
| 構成 | IP を持つ場所 | 用途 |
|---|---|---|
bond0 単体 | bond0 | 物理サーバーの管理通信 |
bond0.100 | VLAN interface | VLAN ごとに host が通信する |
br100 | Bridge | VM を VLAN へ接続する |
| OVS / OVN | OVS bridge / logical switch | KVM で論理ネットワークを分ける |
KVM で使う場合、Bonding は物理 uplink の冗長化や帯域設計の土台になります。その上に Linux bridge、Open vSwitch、OVN のどれを置くかは、VM ネットワークをどの程度抽象化するかで決めます。
設定を反映する
Netplan の変更はネットワーク断を伴う可能性があります。特に Bonding は物理 NIC と switch 側設定の両方に関係するため、リモート作業では管理コンソールや別経路を用意してから反映します。
sudo netplan generate
sudo netplan try
sudo netplan applynetplan try は一定時間内に確認できなければ戻すため、リモート作業時の保険になります。ただし switch 側の LACP 設定不一致などは復旧に時間がかかることもあるため、作業手順を分けて確認します。
Bonding の状態を確認する
設定後は、bond の mode、slave の状態、active interface、LACP の状態を確認します。Linux では /proc/net/bonding/bond0 が重要な確認先です。
cat /proc/net/bonding/bond0
ip address show bond0
ip route
networkctl status bond0
ethtool enp1s0
ethtool enp2s0active-backup では現在 active な NIC を確認します。802.3ad では partner 情報や aggregator の状態を確認し、switch 側の LACP neighbor と一致しているかを見ます。
障害時の切り分け
Bonding の障害は、Ubuntu 側だけで完結しません。物理リンク、NIC driver、switch port、LACP、VLAN、Bridge、routing のどこで崩れているかを分けて確認します。
/proc/net/bonding/bond0で slave が up になっているかactive-backupで active slave が想定通りか802.3adで partner 情報と aggregator が正常か- switch 側の LAG / port-channel が同じ設定になっているか
- VLAN / Bridge と組み合わせている場合、階層が崩れていないか
- MTU が物理 NIC、Bonding、VLAN、Bridge、guest の間で揃っているか
- default route が物理 NIC ではなく意図した論理 interface に向いているか
Bonding は、設定ファイルだけを見ると単純に見えます。しかし実際には、物理 NIC、switch、LACP、VLAN、Bridge、routing がつながっています。障害時は「Bonding が悪い」と決め打ちせず、どの層まで正常で、どこから異常なのかを切り分けます。
書籍
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まとめ
Ubuntu 26.04 の Bonding は、複数 NIC を 1 つの論理インターフェイスとして扱うための設定です。ただし、Bonding は単なる帯域増強ではありません。active-backup と 802.3ad では目的も switch 側の責任も異なります。
冗長化を優先するなら active-backup、LACP による集約を使うなら 802.3ad として、目的から mode を決めます。その上で、VLAN、Bridge、KVM、OVS / OVN とどう接続するかを整理すると、ネットワーク構成の見通しが良くなります。

