Mac を利用していると、「有線と Wi-Fi を同時にオンにしているが、実際にはどちらが使われているのだろう?」と疑問に思う場面があります。結論から言うと、macOS は基本的に“有線を優先”して通信を行います。
一方で、Wi-Fi をオフにしてしまうと、機能そのものが成立しなくなるケースもあります。この記事では、実際のコマンド出力を例に、Mac の 通信優先度の仕組み と Wi-Fi が必須となる代表的な機能(AirDrop) について整理します。
Mac の通信優先度
Mac は複数のネットワークインターフェースを同時に利用できますが、最終的にどのインターフェースを使うかは ルーティングテーブル と サービス順序 によって決まります。以下は実際の macOS(Mac mini)で取得したログです。
インターフェイスの確認
ifconfig en0
ifconfig en1出力は省略しますが、IP アドレスなどが確認できます。この環境では、en0: 有線、en1: Wi-Fi となります。
ルーティングテーブルの確認
netstat -rnRouting tables
Internet:
Destination Gateway Flags Netif Expire
default 10.1.0.1 UGScg en0
default 10.1.0.1 UGScIg en1 上記は、netstat -rn の出力のデフォルトルート部分を抜粋したものです。有線、Wi-Fi ともにデフォルトルートが同じネクストホップで設定されています。この時点ではどちらのインターフェイスが優先させるかは不明ですが、後述でそれが明らかになります。
フラグの意味も参考までに掲載しておきます。
| Flag | 意味 |
|---|---|
| U | Up(ルートが有効) |
| G | Gateway(ゲートウェイ経由) |
| S | Static(静的ルート) |
| c | Cloned route(自動生成) |
| I | Interface scope route(インターフェーススコープ) |
デフォルトゲートウェイの確認
route -n get default route to: default
destination: default
mask: default
gateway: 10.1.0.1
interface: en0
flags: <UP,GATEWAY,DONE,STATIC,PRCLONING,GLOBAL>
recvpipe sendpipe ssthresh rtt,msec rttvar hopcount mtu expire
0 0 0 0 0 0 9000 0 ここでは、interface: en0 と表示されています。つまり、この Mac では インターネット通信の出口は有線(en0) です。
サービス順序の確認
macOS には「ネットワークサービス順序」という概念があり、これも優先度判断の一つになります。実際のログは以下のとおりです。
networksetup -listnetworkserviceorderAn asterisk (*) denotes that a network service is disabled.
(1) Ethernet
(Hardware Port: Ethernet, Device: en0)
(2) Thunderbolt Bridge
(Hardware Port: Thunderbolt Bridge, Device: bridge0)
(3) Wi-Fi
(Hardware Port: Wi-Fi, Device: en1)
(4) iPhone USB
(Hardware Port: iPhone USB, Device: en6)Ethernet(有線)が 1 に配置されており、macOS はこの順序を考慮して接続を選択します。
Wi-Fi を切っても問題ないのか?
「通信は有線が使われているなら、Wi-Fi はオフにして良さそうだ」と考えるかもしれません。確かに単純にインターネットを利用するのであれば、有線のみで問題ありませんが、macOS には Wi-Fi がないと成立しない機能 がに存在します。その代表例が AirDrop です。
AirDrop は、単なる LAN 内のファイル共有ではなく、複数の無線技術を組み合わせて動作する近距離無線通信です。
① Bluetooth LE で相手の端末を探索
まず Bluetooth で「近くにどの端末がいるか」を確認します。
② AWDL(Apple Wireless Direct Link)で P2P 無線チャネルを確立
AirDrop は Apple 独自の無線技術「AWDL」を使用し、Mac と iPhone などの端末同士が直接無線リンクを張ります。これは通常のルーターを経由した Wi-Fi とは別のチャンネルです。
③ データ転送は高速 Wi-Fi を使用
ペアリングが完了すると、大量のデータを高速転送できる無線リンクが利用されます。
以上のように、AirDrop の仕組みは根本的に 無線が前提 になっています。そのため、Wi-Fi をオフにすると AirDrop のボタン自体が消えてしまいます。
有線と無線の併用が推奨される理由
macOS は、有線と無線を「役割を分けて」利用するように設計されています。
- インターネット通信(外向きの流量): 有線が優先される
- 近距離通信・デバイス発見・P2P 転送: Wi-Fi(AWDL)が必須
したがって、有線と Wi-Fi を併用しておくことが macOS の機能を最大限に活用する最適な構成 となります。
まとめ
Macbook などのラップトップである場合、デフォルトでは Wi-Fi のみですが、Mac mini などのデスクトップは有線インターフェイスがあり、一般論としても有線インターフェイスを使う方が安定します。しかし、Mac 特有の機能は Wi-Fi を前提とするものがあるため、Mac を最大限に活用するには Wi-Fi も併用するのが正しい状態です。
- Mac の通信は基本的に有線が優先されます。
- Wi-Fi をオフにすると AirDrop などの機能が動作しなくなります。
- macOS は有線と無線を用途の異なるレイヤとして併用する設計です。
- そのため、有線+Wi-Fi の併用状態が最も安定し、機能面でも推奨される構成となります。


