F5 BIG-IP は、iRule と呼ばれる特別なスクリプトを利用して、標準機能とは異なる機能を実装することができます。この機能を活用することで、特定の通信に HTTP ヘッダーを付与したり、コネクション数に応じて処理を変更したりすることが可能です。
しかし、iRule の採用にはいくつかの問題が存在します。まず、iRule を書くには一定のコーディング能力が必要です。ネットワークエンジニアの中には、コーディング経験がない人も多く、またアプリケーションエンジニアにとっても、iRule の特性や BIG-IP の目的についての理解が不足している場合があります。
さらに、iRule で実装された機能には F5 のサポートがないため、ユーザーは、自身が作成した iRule に対して完全な責任を持つ必要があります。
これらの理由から、iRule の積極的な利用は「主に体制的に」制限されています。SIer では、iRule の実装をスコープ外とすることが多く、あるいは事前に要件を確認し、F5 のプロフェッショナルサービスに iRule の作成見積もりを依頼するケースもあります。
また、よく使われる iRule はバージョンアップ時に標準機能として取り込まれることもあります。
個人的には、iRule はより活用すべきだと考えます。iRule を書くことで得られる知識や、挙動をコードとして視覚的に確認できる利点があります。BIG-IP の本質は iRule にあると言えるでしょう。しかし、iRule を書く必要があるケースは限られており、積極的に iRule を活用するエンジニアは少数派と言えるでしょう。
F5 BIG-IP iRule のメリットと使用基準