設計によりますが、Cisco ルーターにスイッチポートモジュールを取り付けてエッジ側のスタックした L3 スイッチと冗長構成をとることがあります。その場合、結果的に L2 ループとなり、STP (Spanning Tree Protocol) でブロックポートが構成されてしまいます。L3 で終端する設計にしてもネイティブ VLAN は伝播するため、それが L2 ループを構成する場合もあります。
仮に L2 ループとなっても、 STP によるブロックポートでブロードキャストストームは止まりますが、Cisco ルーターのスイッチポートモジュールは RSTP (Rapid Spanning Tree Protocol) をサポートしておらず、通常の STP にしか対応していないため、障害発生時の収束に 50 秒を要してしまいます。これではせっかくスタックでエッジの L3 スイッチを冗長しても、その恩恵を最大限に活かせません。
これらを踏まえ、いろいろと情報を収集したところ、 Cisco ルーターでもリンクアグリゲーションが使えることが分かりました。だたしスイッチとは以下の違いと制約があります。
- Cisco ルーターのミドルレンジのモデルから使用できます。1812 や 892 などは使用できません。
- LACP と PAgP は使用できず固定のみです。
- ルーテッドポートしか使用できません。つまり L3 EtherChannel のみです。
- スイッチで使う
show etherchannel summary
コマンドなどは使用できず、show interfaces port-channel
コマンドを使用してステータスを確認します。 - port-channel インターフェイスで VLAN サブインターフェイス (802.1q) を使用できます。
条件によって STP を使わざるを得ないケースも多いと思いますが、Cisco ルーターでリンクアグリゲーションが使えるのであれば、設計の選択肢も増えると思います。
余談ですが、リンクアグリゲーションは、それ扱うエンジニア、または同じネットワークエンジニアでも、学んできた環境や文化によって呼び方が様々です。個人的には以下のように感じています。
ネットワークエンジニア | EtherChannel(イーサチャネル)、Port-Channel(ポートチャネル)、FEC(フェック)、GEC(ゲック)、10GEC(テンゲック)、IEEE802.3ad、Link Aggregation(リンクアグリゲーション)、LAG(ラグ)など |
サーバーエンジニア | Bonding(ボンディング)、Teaming(チーミング)、Trunk(トランク)、IEEE802.3ad、Link Aggregation(リンクアグリゲーション)、LAG(ラグ)など |
私はネットワークエンジニアですが、呼び方をラグで統一し、正式名称としてリンクアグリゲーションとしています。もちろん臨機応変にです。FEC や GEC はもはや機能名ではなく帯域の問題です。気持ち悪いのでその呼び方はやめてもらいたいです。あとサーバーエンジニアが使う Trunk は Cisco の VLAN (IEEE802.1q) 設定とかぶるので、やめてもらいたいです。