近代の産業革命とAIの関連性:
産業革命の各段階において、新たな技術の導入が社会と産業構造に革新をもたらしました。第一次産業革命では蒸気機関や紡績機械が工業化を促し、第二次産業革命では内燃機関や電灯の発明、大量生産技術の導入が急速な発展をもたらしました。IT革命ではコンピュータ技術の進化が情報処理や通信技術の進歩をもたらし、情報共有やデジタル化、オンラインビジネスの拡大を実現しました。
現在進行中の第四次産業革命は、デジタル技術、人工知能、自動化、ブロックチェーン、バイオテクノロジーなどの先端技術の統合によって産業構造や社会の変革をもたらします。スマートファクトリーや自動運転車、クラウドコンピューティング、ヘルステックなどがその一部です。第四次産業革命は生産性向上や新たなビジネスモデルの創出、社会的なインパクトの増大を期待されています。これに量子コンピューターが加わると爆発的な変化が起こると思いますが、それは第五次産業革命になるのかもしれません。
過去の経験からも分かるように、新たな技術革新は一部の人々にとっては不安や批判を引き起こすこともありますが、技術の進歩を止めることはできないと思います。第四次産業革命も、IT革命と同様に社会に大きな変化をもたらす可能性が高いです。その実態は昔のSFで描かれたような世界に近づいていると言えるでしょう。
ChatGPTの登場:
AIの中でも特に注目すべきなのは、2022年11月30日に発表されたChatGPTです。この技術は市場に大きなインパクトを与え、一般の人でも容易で利用できるようになりました。これはより豊かな未来を期待させていると思います。AIの活用により、深い基礎知識を持たなくても新たなものを生み出すことができるようになります。
基礎技術の重要性:
AIの進化においても、エンジニアとして基礎技術の重要性を忘れてはなりません。例えば、AIではありませんが、AWSでは、開発者がネットワークやサーバーの詳細な知識を持たずに利用できるようになっています。同様に、AIを利用することで、低レベルの情報をカプセル化する可能性があります。このような進展により、世界の科学と技術の進歩は一層加速するでしょう。ただし、すべてのものは基礎的な技術に基づいて成り立っています。もし基礎技術が利用できなくなった場合、それらの人々は何もできなくなるかもしれません。
基礎技術は、エンジニアリングやプログラミングの基盤となる知識やスキルです。ネットワーキング、データベース、アルゴリズム、セキュリティなどの基礎的な要素を理解し、実践することは重要です。これらの基礎技術を学ぶことで、より堅牢で効率的なシステムやアプリケーションを開発することが可能になります。
AIが進化しても、基礎技術は不可欠です。AIは高度な応用や自己学習を可能にする一方で、その裏には基礎技術の積み重ねがあります。エンジニアはAIを活用するだけでなく、基礎技術の習得にも注力することが求められます。基礎技術を理解し、その上でAIの力を借りることで、より効果的かつ革新的なソリューションを生み出すことができるでしょう。
創作物についての考え方:
AIの進化によって、創作物の所有に関する考え方が大きく変わる可能性があります。AIは人間の知的な活動や芸術的な表現を模倣し、新しいものを生み出す能力を持っています。AIには新たなものを創造できないという主張もありますが、私はそれに異なる見解を持っています。AIの創造物は実質的に人間の創造物そのものであり、人間も既存の情報や基礎技術を参考にしながら新しいものを生み出しているからです。この観点から考えると、文学、絵画、音楽などの芸術作品や、憲法や法律のような社会システムの設計、多岐にわたる設計活動など、あらゆる創作物にAIの活用が適用される可能性があります。
一方で、このような進展はこれまで知的産業に携わってきた人々に影響を与えるかもしれませんが、私はそれに対しても異なる見解を持っています。AIが生み出すものを専門的に評価するのは、依然として人間の専門家に委ねられるべきだと考えています。言い換えれば、AIがプログラムのコードを生成しても、それが意図したものかどうかを判断するのは、プログラミングに疎い人では困難であるということです。そのため、人間の専門家は依然として必要とされる存在です。ただし、AIは創造的ではなく基礎的な知識、例えば原子構造などにおいては十分な結果をもたらすことができます。
考えるべきはAIとの付き合い方でです。
AIによる社会システムの革命:
私の関心はAIによる従来の人間の社会システムの変革にあります。これまでの社会システムは〇〇主義と呼ばれるものであり、最近ではそのシステムが大きく揺れ動いていることは明らかです。政治家たちは民主主義を熱弁するものの、実際には表面的な改善に過ぎず、本質的な変化は見られませんでした。その理由は、複雑な問題が権力者の解釈に任されてしまうことです。AIはこの状況を変える力を持っています。合理的な仕組みを創り出し、オープンにすることで、洗練された民主主義の実現が可能になるかもしれません。また、経済的な適正化も期待できます。
ただし、人間が数百年間解決できなかった問題をAIが即座に解決できるとは考えにくいです。なぜなら、AIの知識も既存の人間の知識に依存しているからです。たとえAIが新たな適切な社会システムを作り出したとしても、そのシステムが適正化されるまでには時間がかかるかもしれません。現時点では問題や解決策のガイドラインを明確に示すことはできますが、その理解は既に知識層に存在する可能性が高いです。ただし、人間の寿命を考慮すると、それを実行することが自身に大きな影響を及ぼすため、実現するのは難しいかもしれません。
AIの設計:
AIの設計は人間によって行われるため、その透明性が必要不可欠です。なぜなら、設計によってはAIが恣意的に悪用される可能性があるからです。この点は現代の政治などの権力関係とも類似しており、自らの地位を維持するために恣意的な発言がなされることと同様です。
AIと付き合う人間の知性:
人間でも知識や論理的思考能力の差があると意思疎通が難しいと言えます。同様に、AIとの関わり方においても、人間は学習を怠ってはならないということです。知識やスキルの向上は、AIとの適切な付き合い方を実現するために重要です。